大幅変更というよりは熟成という言葉がぴったり
2011年に初代モデルが登場、2017年の現行型2代目モデルへ進化し、今では軽乗用車を代表する存在に成長した日本の国民車の1台であるホンダN-BOXがマイナーチェンジされた。N-BOXは2020年も軽乗用車、登録車を含めて日本一売れたクルマとなるのが確実な超人気車なだけに、マイナーチェンジの内容を詳細に紹介していこう。
■エクステリア
●標準系
グリルの変更により、どことなく先代モデルを思い出させる雰囲気も持つようになった。ヘッドライトとグリルを形状変更し、より落ち着いた印象に。上品さも感じさせるメッキバーをロアグリルに追加したことで、ワイド感も与えている。
●カスタム系
グリル上部の内部を含めた形状の変更、グリル下部の開口部の拡大、バンパー下段の左右にガーニッシュを追加。マイナーチェンジ前は中央から運転席側にオフセットして配置されていたナンバープレートが中央に移動されるなど、標準系よりカスタムの方が変化度は大きい。また、リヤにはメッキを追加して存在感を高めている。
また標準系、カスタムともにホイールキャップ、アルミホイールのデザイン変更も行われている。カスタムは変更前よりも高級感や存在感をさらに強調、ノーマルは変更前のシンプルさを引き継ぐデザインとなっている。
■インテリア
ダッシュボードパネルの加飾が変更され、車内の雰囲気を変更。さらに、ベーシックな標準系のGグレードと福祉車両のスロープ仕様以外に後席乗員向けシートバックテーブルが加わった。
■コーディネートスタイルの追加
コーディネートスタイルはマイナーチェンジ前からあった2トーンカラーのボディカラーの仕様を発展させ、インテリアも含めてよりファッショナブルかつゴージャスにしたものだ。コーディネートスタイルを選ぶと、標準系では2トーンカラーのルーフ部分がブラウン、ホイールはブラウン色のスチール+シルバーのハーフホイールキャップ、ドアハンドルがメッキ、インテリアカラーはブラウンとなる。
カスタムでは2トーンカラーのルーフ部分がボディカラーによってブラックかシルバーとなり、コーディネートスタイル専用のアルミホイール、インテリアにはボルドー色のパネルや合皮地のシートが装着される。
■機能面
●パワートレイン系
燃費に代表される各種スペックの変更はないが、ターボエンジンはジェットポンプの追加とパージコントロールソレノイドのソニック化により、燃料の蒸発量を抑制するという環境対応を強化した。CVTの制御の見直しによりアクセルを踏んだ際のレスポンスはドライバーの意思により近い自然なものに、アクセルを離した際のエンジンブレーキは強める方向になっているという。
同時にドライバーのセレクトダウンによりエンジンブレーキを効かせるLレンジは、マイナーチェンジでSレンジに変更。Sレンジ選択時はLレンジのときよりも緩やかなエンジンブレーキ制御となり、ブレーキを踏むとLレンジ同等の強いエンジンブレーキが効く。また、2WD+ターボ車はフロントドライブシャフト、4WD車はプロペラシャフトなどの改良による振動、騒音の低減も施されている。
●ホンダセンシング
先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールや車線の中央をキープしようとするLKAS(レーンキープアシストシステム)、自転車や夜間の歩行者にも対応する高性能な自動ブレーキなどから構成され、軽自動車トップクラスの安全パッケージとして定評あるホンダセンシング。マイナーチェンジで後方誤発進抑制機能のためのセンサーを4つに増やし、後方障害物の接近へ対応する「パーキングセンサーシステム」を追加した。さらに、アダプティブクルーズコントロールの120km/h対応などの改良が行われた。
■グレード体系
グレード体系はマイナーチェンジ前とほぼ同じで、大きくは標準系とカスタム、シートが前席ベンチシート、助手席が後方に大きくスライドするスーパースライドシート、福祉車両のスロープ仕様に分かれる。
■まとめ
N-BOXのマイナーチェンジは全体的に細かな変更や改良を積み重ねた内容という印象だ。
N-BOXを含め、各社合わせて実質四車種がある軽スーパーハイトワゴンは競争の激しいジャンルで、現行モデルのなかでN-BOXは登場時期としてはもっとも古いモデルだ。しかしN-BOXはマイナーチェンジでさらに高まった完成度と高いブランド力を武器に、今後もこのジャンルをリードしていくに違いない。