普及率の高さでは国が力を入れるノルウェーが圧倒!
EVが普及している国として世界的に有名なのが、北欧ノルウェーだ。なんと新車販売の6割近くが、EVだというから、日本人にとっては大きな驚きだろう。とはいっても、総人口は537万人と、日本の4%にしか過ぎない。だが、総面積は日本の85%と、それなりに広い。つまり、人口密度が低い。
実際、筆者は何度かノルウェーを訪れ、各都市を巡っているが、アメリカの農村部に似たようなのんびりした雰囲気がある。
そんなノルウェーで、なぜテスラ・モデル3やアウディe-Tronが良く売れているのか?
最大の理由は、国による積極的なEV政策にある。ガソリン車からの買い替え補助金を百万円単位で支給したり、高速道路の通行割引、さらに税制優遇措置などを講じている。EV政策を推進する背景には、ノルウェーの主力産業が北海油田による原油採掘であり、LCA(ライフサイクルアセスメント)といわれるエネルギー全体における環境対策を考慮していることにある。
そもそもは、水素社会の推進を進めており、水素燃料や燃料電池車の普及も考えてきた。水素燃料では、マツダのRX-8ベース車を、国に対して当初は数百台納入する予定だったが、EV強化への路線変更により、同車は数台だけ広島から輸出された。
筆者はこれまで10数年間に渡り、ノルウェーでの水素戦略からEV戦略への転換、また北海油田の実状などを定常的に現地取材してきたが、近年の世界的なEVシフトのなかで、ノルウェーの存在がここまで注目されるようになるとは、想像できなかった。
自動車市場全体として、20万台に満たないノルウェーだがEV普及率は今後もさらに上がる可能性がある。