速いクルマを作ってもムダ? 人気レース「スーパーGT」で聞く「BoP」の正体とは (2/2ページ)

エンターテイメント性の高さもスーパーGTの魅力のひとつ

 ちなみに、このBoPの基準になっているのが、GT3規定を管轄するSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)が主催するレースシリーズ「GTワールドチャレンジ」で、GT3規定を採用する国内外のシリーズが、このGTワールドチャレンジの最新のBoPを基準に性能調整を実施している。

 しかし、スーパーGTのGT300クラスはGT3に加えて、JAF-GT、JAF-GTマザーシャーシと独自の規定を採用していることから、このSRO基準に参考にしながらも独自の性能調整を行なっていることがスーパーGTのGT300クラスならでは特徴と言えるだろう。これに加えてスーパーGTではリザルトに応じてウェイトハンディを搭載することもポイントと言っていい。

 GT300クラスのドライバーやエンジニアに勝算を尋ねると「BoP次第」という答えが返ってくること多く、時として、大排気量エンジンを搭載した「ニッサンGT-R」や「メルセデスAMG GT3」などのパイパフォーマンススポーツカーを抑えて「スバルBRZ」や「トヨタ・GRスポーツ・プリウスPHV」などが上位に食い込むことも少なくはない。

 市販モデルでは想像のつかないバトルで、高級スポーツカーのオーナーにしてみれば、複雑な気持ちになるかもしれないが、このエンターテイメント性の高さもスーパーGTの魅力で、独自の性能調整システムを採用することにより、多彩な車種ラインアップと世界屈指の激戦を演出しているのである。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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