2020年の販売台数はダイハツが優勢
全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計によると、2020年11月の単月軽四輪車総数において、ダイハツが5万2523台を販売。スズキの4万8584台に3939台差をつけてトップとなった。さらに2020年1月から11月の累計販売台数でも、スズキに9776台の差をつけてダイハツがトップとなっている。
ちなみにスズキは2019年12月には3万9301台を販売しているのだが、これは同年10月からの消費税率引き上げに伴い、販売不振傾向にあったので少なめとなっている。そこで2018年12月の販売台数を見ると、スズキは4万1976台を販売しているのだが、ダイハツに2849台差をつけられトップを逃している。
仮に2020年12月のスズキとダイハツの販売台数が2018年12月と同じで、11月までの累計販売台数差を9776台とすると、スズキが年間販売台数でダイハツに逆転するためには、4万1976台に2849台と9776台を上乗せし、さらに販売台数を増やさなければならないので、単月で5万5000台以上を売らなければならない。筆者としてはこのままダイハツが逃げ切り、2020暦年締めブランド別軽自動車年間販売台数ナンバー1は、ほぼダイハツで決まりと考える。
いつもならば、ダイハツ楽勝の様相を見せていたのだが、2020年9月の時点では、わずか3448台の差ながらスズキが累計販売台数でトップとなっていた。
2020年4月と5月は新型コロナウイルス感染拡大により、全国的に緊急事態宣言が発出された。外出自粛が要請されたことや、工場休業などでの生産遅延もあり、4月と5月の販売台数はボロボロだった。しかし、スズキはこのタイミングから単月ベースでダイハツを抜きトップとなることが目立ってきたのだ。
2020年9月の段階では、このままスズキが突っ走って年間販売台数トップを狙えるかと思った。だが軽自動車ではタントとムーヴキャンバスのみとなるが、10月1日から12月31日まで“10万円分用品プレゼント”キャンペーンの展開を始めている。
「直接の対象車は少ないですが、対象車両以外のクルマが希望のお客はこのようなときは『僕たちにはプレゼントないの』などと要求してくることも多いので、現場ではキャンペーン同等のことはしているとも聞きます」と語るのは事情通。
スズキも10月5日から同様のキャンペーンの展開を始めたので、“仁義なき闘い”の始まりかと一瞬ザワついたが、対象は登録車のみであった。
スズキは2019年(暦年でも事業年度締めでも)もダイハツとの年間販売台数トップ争いで善戦していたのだが、2020年にここまで肉迫した背景のひとつが“ハイブリッド”という魔法のおまじない効果がより出てきたことがあるようだ。
「スズキの軽自動車のなかで、ワゴンR、スペーシア、ハスラーにはハイブリッドユニットがラインアップされています。販売現場で聞くと『軽自動車でハイブリッドなので燃費が良さそうだ』と選ぶひとが多いそうです。一方のダイハツはクルマ造りではしっかりしているのですが、売れ筋のタントでも『華がない』という声をよく聞きます。軽自動車でも『ハイブリッド』というおまじないは販売促進の特効薬になるようです」(事情通)。