AT車で「P」レンジに入れて「パーキングブレーキ」なしは危険だった! (1/2ページ)

確かに「ロック」はされるが「簡素」な機構

 いまや日本では乗用車の99%近くがAT車になっていて、MTは超少数派だ。世界的にみても、日本はAT大国となっている。

 ところで、MTであれば駐車時にはパーキングブレーキをしっかりとかける人がほとんどだろうが、ATではPレンジに入れるだけで、パーキングブレーキは使わないというユーザーも少なくないという。AT限定免許であっても、教習所(自動車学校)では駐車時にはパーキングブレーキをかけるように習ったはずだ。

 たしかに「Pレンジというのはパーキングの意味なのだから、わざわざブレーキをかける必要はない」と言いたくなる気持ちはわからないでもないが、実際にはPレンジというのは駐車時に使うポジションという意味であって、パーキングブレーキとの併用を前提としている。

 ATをPレンジに入れるとガシャンと機械的に噛み合う感触があるので、かなりしっかりとギヤで固定しているように思えるかもしれないが、じつは一か所の爪で噛み合せているだけで、それほど強度はなかったりする。クルマを新車時から乗っているとPレンジでの遊び(クルマが動く量)が年々大きくなっているのを感じたことがあるだろう。それほどしっかりとは固定されていない。

 ATの設計によるが、走行中に間違ってPレンジに入れたときに爪部分を破壊したり、爪を押さえるスプリングによって極低速にならないと爪がはまらないようにしていたりすることが多い。いきなりロックするとエンジンが壊れたり、車両がスピンしたりと危険なため、その対策としてヒューズ的な機構が備わっているのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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