先進運転支援システムにも徐々に消えいくものもある
3)クルーズコントロール
最新モデルでは先行車に追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)の躾具合がクルマの機能として評価される時代になっている。その一方で、速度固定式の単純なクルーズコントロールというのも、まだまだ一部のクルマには残っている。思えば、国産車で初めてクルーズコントロールを設定したのはトヨタ・クラウンで、それは1964年のことだった。ドライブバイワイヤといってアクセル操作が電気信号に変わるなど、技術的な洗練はあったが、その当時からクルーズコントロールの基本的な機能は「設定した速度を維持して走り続得る」という点において変わっていない。
順調に流れている高速道路などであれば問題なく使える機能だが、先行車と適切な車間距離を守ってくれるACCを一度使ってしまうと、単純なクルーズコントロールを使いたいとは思わなくなってしまう。かつては高級車だけに備わっていた上等な機能だったが、遠からず消える技術といえるだろう。
4)低速限定の衝突被害軽減ブレーキ
ACCのような先進運転支援システムといえば、いの一番に思い出す機能がAEB(衝突被害軽減ブレーキ)だ。主に、前方の様子をセンサーで検知して、歩行者や車両との事故が避けられないと機械が判断すると自動的にブレーキを作動させ、事故を回避したり、衝突の被害を軽減してくれたりする機能だ。そして、このAEBというのは文字どおりに日進月歩で進化している。AEBが日本で広まったのはSUBARUの「アイサイトver.2」が登場したことが大きいが、軽自動車にも採用されるようになったきっかけのひとつは、2012年に上陸したフォルクスワーゲンup!が150万円を切る車体価格ながらAEBを備えていたことも無視できない。とはいえ、up!のAEBは赤外線レーザーを用いるもので、検知できるのは車両のみで、対応できるのも30km/h以下という限られたものだった。
その後、軽自動車に採用されたAEBの多くもup!と同様のシステムで低速限定・対車両限定のAEBが多かった。いまはAEBには歩行者検知が求められる。事実、新型車では2021年11月以降に義務化されるAEBには、対車両だけでなく歩行者検知機能も求められている。そのためには最低でもカメラの搭載は必要であり、赤外線レーザーを使うタイプであっても単眼カメラを併用するフュージョン方式とすることが最低限必要となる。10年前には最新鋭としてもてはやされた機能が、あっという間に古くなってしまうのが先進運転支援システムのスピード感なのだ。