夏タイヤとスタッドレスタイヤとでは使用環境や使用目的が違う
タイヤの転がり抵抗性能を5段階、ウェットグリップ性能を4段階に評価するラベリング制度。タイヤの購入時に大事な目安として注目しているひとも多いだろうが、スタッドレスタイヤにはこのラベリングが見当たらない。なぜスタッドレスタイヤには、ラベリングがないのだろうか?
それはこのラベリング制度がはじまったときから、『適用範囲は消費者が交換用としてタイヤ販売店等で購入する乗用車用夏タイヤ』と決まっていたため。
そもそもラベリング制度とは、それまで曖昧だった環境性能、安全性能に基準を設けることで、「環境タイヤ」と呼ばれていたものと「低燃費タイヤ」の違いを明確にし、消費者のタイヤ選びに有益な情報を提供することを目的に、2010年1月より社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)が制定、運用を開始した業界自主基準のこと。
ちなみに、ブリヂストン、住友ゴム工業、横浜ゴム、TOYO TIRE、日本ミシュランタイヤ、日本グッドイヤー、ハンコックタイヤジャパン、クムホタイヤジャパン、ナンカンタイヤ、オートバックスセブン、ピレリジャパン、ネクセンタイヤコーポレーション、マキシスインターナショナルジャパンの13社が、参画企業として名を連ねている。
そして、転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義し、消費者が交換用としてタイヤ販売店等で購入する乗用車用“夏用タイヤ”を対象タイヤと定めている。
夏タイヤとスタッドレスタイヤとでは、あまりにも使用環境、使用目的が違うので、同じ土俵で評価するのは無意味なこと。
だからラベリング制度がないのは十分理解できるが、それとは別に第三者機関による圧雪グリップ、アイスバーングリップなどの比較評価があればいいのだが……。
現状ではそうしたデータは雑誌のテスト等に限られているので、それらを参考にしたり、タイヤメーカーのカタログや、タイヤ専門店などから情報を収集し、納得できるスタッドレスタイヤを選ぶしかない。