よく売れている背景は全店併売化の影響が大きい
11月の販売台数ではライズとアルファードはほぼ同じ程度となっているのだが、得られる利益は絶対的にアルファードのほうが高いので、ライズとは僅差とはいえ、アルファードが1万台も売れるというのは、ライズが1万台売れることよりもはるかに“偉業”なのである。
アルファードを販売するだけでも、メーカー、ディーラー、そしてセールスマンもまさにウハウハ状態なのだが、さらに“オマケ”がすごいのである。「アルファードを買われるお客様はローンを組まれる方が圧倒的に多いです。しかもフルローンで組んでもらうことが多いので、弊社が提携信販会社からもらうバックマージンもかなり多く、私どもセールスマンへのマージンも抜群に良いので、セールスマンもアルファードを熱心に販売します。そしてバックマージンの一部は値引きにも反映されますので、お客様も得します。私も9月に1件だけですが70万円引きをやらせてもらいました」と話してくれた。
アルファードがよく売れる背景については、やはり2020年5月の全店併売化が大きいようだ。新規に扱い始めたディーラーが、アルファードを販売することによる“うまみ”に衝撃を受けたかのように売りまくり始めたのだ。「残価設定ローンを組んでいただければ、アルファードはリセールバリューが圧倒的に良いので、ヴォクシーに“ちょい足し”でアルファードが買えることをお客様に伝えると、かなりの確率でアルファードを選ばれます」とのことである。
つまり、単にアルファードが欲しいというお客が多いだけでなく、セールスマンが積極的に“売り込んでいる”からこそ、2020年11月のような販売台数を記録することができるのである。他メーカー系ディーラーでは欲しがるお客だけに販売する傾向を強く受ける。単なる“売り子”かそうでないかということも大事なのである。
ヴェルファイアの販売台数の落ち込みについては、決定的な知名度の違いなのか、併売になるとアルファードを選ぶお客が目立つようになり、いまのような販売台数差がつくと、リセールバリューにも差が出るとお客に伝え、事実上の“アルファードシフト”を敷いて販売活動を展開していることも影響しているようだ。WITHコロナの時代になってからは、一定額以上の新車購入では、リセールバリューというものも重要視して車種選びをするお客が目立っているとのことである。
今回の自販連の統計では、1位から7位までをトヨタ車が独占している。販売シェアでの“トヨタ一強”だけでなく、そのなかで売れているモデルを見ると、コンパクトカーや軽自動車ばかり売れているメーカーに比べ、ハリアーや、セダンやステーションワゴンで売りにくいカローラ系などもしっかり販売しており、偏りのないバランスの取れた新車販売ができていることでも“トヨタ一強”となっているのだ。
ただ、それができるのは、きちんと売り分けることができる販売戦力(セールスマン)と、困ったときに話を聞いてもらえる顧客との深い信頼関係の構築が他メーカー系ディーラーよりしっかり引き継がれていることがあり、それをバックアップするモデルラインアップの充実があるといえよう。