突如アルファードがバカ売れ! 知られざるディーラーマンの「うま味」が鍵 (1/2ページ)

アルファードは台当たり収益率が抜群に高いモデルだ

 すでに多くのウェブニュースで伝えられているが、自販連(日本自動車販売協会連合会)が発表した、2020年11月の単月登録車通称名(車名)別販売ランキングにおいて、トヨタ・アルファードが1万109台を販売し、第3位にランクインした。ホンダ・フィットやトヨタ・カローラなどの量販車を押さえてのトップ3入りはまさに驚きのことである。

 あるトヨタ系ディーラーでは、「『販売ノルマ達成の際にはアルファードの受注を必ず1台入れること』と“お達し”がありました」とセールスマンが語ってくれた。いまトヨタではハリアーやライズ、ヤリスクロスなどは人気が高く、よく売れているが、これらのモデルは納期遅延状況となっているので、受注してもすぐに販売実績にカウントすることはできない(カウントは当該月に登録が完了していることが原則)。アルファードより売れているライズも、じつは自販連統計上の販売台数は“当該月に消化した(納車した)バックオーダーの台数”ということになるのだ。

 ヤリスはガソリン車では納期はかかるが、ハイブリッドはガソリン車よりは納期が短いので、バックオーダー車と即納車がミックスされ、さらに自販連統計上ではヤリスクロスのバックオーダー消化分も含まれるので、ここのところ登録車販売トップ(ホンダN-BOXも抜いているので乗用車全体でもトップ)となっているのである。ハリアーも基本的にはバックオーダー消化がメインとなっているのである。

 つまり、トヨタ系ディーラーでは、人気があるからといって、お客の言うままにハリアーやヤリスクロスなどの販売のみをしていると、新車は売れているが、直近の販売実績の伸び悩みが発生してしまうので、「人気車ばかりではなく、納期の短いモデルもしっかり売りなさい」と、バランスの良い販売活動を日ごろからセールスマンに指導しているのである。そして、その短納期で販売推奨車種となっているのが、カローラ系、ノア系そしてアルファード系なのである。

 そしてアルファードは“高収益車種”という分類に入り、カローラなどよりは台当たり収益率が抜群に高い車種にカテゴライズされるのである。仮に同クラスのセダンがあったとしても、ミニバンはもともと、そのモデルのための新機軸というものの採用は少なく、セダン系からのメカニカルコンポーネントの流用が多い。

 そして目立つ装備、たとえば豪華なシートなども見た目のインパクトから想像するよりかかる原価は安いので、利益率が圧倒的に高いとされている。世界的によく売れているクロスオーバーSUVも似たような傾向があるので、人気はもちろんあるのだが、全世界のメーカーがこぞってラインアップを増やしているのは、“儲かる”という部分も大きいのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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