スポーツカー大豊作の90年代に生まれた「三菱GTO&FTO」! 名車の素質十分なのにライバルより「評価されない」ワケ (2/2ページ)

タイプRの登場でFTOの存在感が薄まってしまった……

 反対にもう1台の二代目FTOはもっと評価されてもよかったクルマ。一番の特徴は、和製クーペフィアットといわれた斬新なデザイン。ホイールベース・トレッド比(ホイールベース÷前後トレッドの平均値)が、1.7を下まわる1.68だったので、操縦性、機動性優位のディメンションだったといっていい。

 シャシーのベースはミラージュだったが、剛性感もしっかりしていて、ハンドリングのレベルは高く、ワインディングなどではかなり気持ちよく走れる1台だった。エンジンも可変バルブタイミング・リフト機構=MIVECを採用した2リッターV型6気筒のNAの6A12型(200馬力)を搭載。

 これも中間加速に優れたドライバビリティのいいエンジンで、エキゾーストも乾いた良い音でなかなかのし上がり。また、ポルシェのティプトロニックを応用した、国産初のマニュアルモード付きAT=INVECS-II(4速ATでデビューし、マイナーチェンジで5速化)を採用したのもトピック(MTもあった)。

 しかし、このクラスのFFスポーツというと、ホンダのインテグラ・シビックという強力なブランドがあり、FTOのデビュー1年後の1995年には、FFスポーツの革命的存在、インテグラタイプRが登場! どちらかといえば、スポーツカーというよりスペシャリティカー的な存在で、スタイリングも先進的過ぎた部分があったFTOは、メジャーな存在にはなりきれなかった。

 その後、三菱はランサーエボリューションシリーズを送り出し、WRCを席巻。サーキットでも大活躍して、そのハイパフォーマンスぶりが認められていくわけだが、FTOももう少し三菱のモータースポーツイメージが高まってから登場していれば、もっと人気が出ていたと思われる。そう意味ではとっても惜しい一台だ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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