鋭意開発中のフィットモデューロXプロトタイプでも効果を体感
この「空力実効デバイス」は、その高い効果が確認されたことで、今後他車種にも拡大採用されていくことになる。その手始めに新型FIT(フィット)のプロトタイプ仕様開発車が会場には用意されていて、それを走行評価することもできた。
まずノーマルのフィットで走行。今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストに選出されるなど評価の高いFITは、オリジナルの状態でも前方視界がよく、特設コースの道幅2.2メートルの狭い区間も60km/hの速度で難なく通過できる。ただ微小にステアリングを修正しラインをトレースさせる必要も感じられていた。
次に実効空力デバイスも盛り込んだモデューロXのフルバージョンで仕上げたプロトタイプに乗り換えると、やはり各速度域で4輪タイヤの接地性が高まっていると感じられ、ライントレース性はより好感触で限界も高まっているように感じられた。試しに例の極狭い区間を徐々にスピードアップさせていくと、なんと70km/hで通過でき、そのときのライントレース性はノーマルの通過速度60km/h時より高まっていた。
注目したいのは、ただ限界を高めるだけでなく30km/hとか40km/hといった市街地走行時の速度域でも、同様の変化が感じ取れていることだ。これは風洞実験などの定量的なデータだけにこだわらず、感性豊かなテストドライバーと空力パーツを加工する匠の手作業で地道に感応部分を磨き上げてきたからこそ得られた好特性といえるのだ。
実効空力デバイスを備えたモデューロX。すでに完成しているフリード・モデューロX同様、今後展開される新型フィット・モデューロXの完成へも期待が高まった。