新車のスカイラインGT-Rが手に入るといってもいい充実度
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(以下、ニスモ)は、第2世代と呼ばれる日産スカイラインGT-R(BNR32/BCNR33/BNR34)のレストアビジネス「NISMO restored car」を開始すると発表した。
ニスモでは、2017年11月より生産終了となっていた純正部品の再生産・復刻販売を行う「NISMOヘリテージ」という取り組みを日産自動車と共同で行っている。今回、ニスモがこれまでスカイラインGT-Rとともに行ってきたレース活動から得たノウハウ、そしてニスモ直営店がこれまで提供してきたメンテナンスやチューニングのち県や技術を活かし、「ニスモが考えるレストア車」を新たに定義。NISMO restored car」としてプロジェクトをスタートさせた。
今回、日産自動車の直系であることを活かし、「性能の可視化」「新車レベルの性能に近づける」というふたつのテーマを掲げている。長く大事に乗ってほしいというのはもちろん、世界的にも注目を集めている日本を代表するスポーツカーを、コンディションのいい状態で数多く後世に残していきたいという願いも込められたプロジェクトなのだ。
やはり、このレストアビジネスのトピックスはボディである。エンジンやパワートレイン、シャシー関係はこれまでもオーバーホールとして行われているが、ボディに関しては細部までこだわったレストアを行っている専門業者は数少ない。そこで、ニスモならではの厳しい基準を設け、ニスモにしかできないレベルの施工を実現。各部パーツも日産自動車が定める点検や測定に準じ、すべてを数値化。車両1台を構成するすべての部品の継続使用・交換(部品番号含む)・点検・再塗装などの作業履歴をすべて記録し、ユーザーへ提示する徹底ぶりである。
おもな作業工程は下記の4工程だ。
1:ボディ
車体はすべての部品を取り外した、いわゆるホワイトボディ状態にされ、日産自動車の実績を踏まえたニスモ基準で「ホワイトボディねじり剛性測定」と「ボディ寸法測定」を含めて修正を実施。正しい基準値まで修正し、性能が確保できていることを確認する。劣化したシーリングの再塗布後に、ユーザーの希望色で再塗装される。オプションとして、電着塗装やメルシートの交換も可能だ。
2:パワートレイン
すべて分解され、オーバーホールとバランス取りを実施。エンジンベンチ台上にて性能測定ならびにラッピングを行い、新車時の性能が出ていることを確認する。また、オプションでニスモ仕様のエンジンチューニングを施すことも可能。駆動系は、各種作動確認、点検・分解洗浄・オーバーホール・消耗劣化部品の交換・塗装を行う。制動系はオプションとなり、希望の構成部品の追加交換をオーダーできる。
3:内装
第2世代スカイラインGT-Rの悩みのタネのひとつであるインテリア。基本的には徹底したクリーニングで対応する。しかし、シートなどは表皮がボロボロになっている個体も多い。そこで、オプションとして日産GT-R(R35)の表皮を用い、インテリアのトータルコーディネートした張り替えも可能に。また、同様に劣化していることが多いプラスチック部位も塗装リペアすることもできる。電装系は、導通動作確認・点検・消耗劣化部品の交換を実施する。
4:完成検査
すべての作業が完了したのち、シャシダイナモメーターによる性能測定を実施。その後ニスモテストドライバーもしくはプロドライバーによるチェック走行を実施。きちんと性能が発揮されるか確認する。
すべてが豪華なメニューとなっており、もはや新車を1台作り上げるくらいの本格的な作業内容となっている。完成した車両にはすべてシリアルナンバーが与えられたモデルプレートが取り付けられる。車両1台1台で行うメニューも異なるため、施工料金はニスモに要問合せとなる。決して安価ではないが、一生手放すつもりがないというオーナーにとって、今では手に入らないスカイラインGT-Rの“新車が手に入る”と思えば、検討したくなるのではないだろうか。