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技術的には100馬力も可能! それでも軽自動車が「64馬力」にこだわるべき理由とは (2/2ページ)

技術的には100馬力も可能! それでも軽自動車が「64馬力」にこだわるべき理由とは

今の技術であれば実質64馬力以上にすることも可能

 軽自動車のエンジンは、排気量がわずか660cc以下に限られている。もともとは1954年に規格改定された360ccの時代が長く、スバル360やホンダN360など多くの名車が世に送り出されている。1976年に排気ガス対応などによる出力不足を補う観点から排気量上限が550ccに拡大され、1990年には660ccまで引き上げられた経緯がある。360cc時代はターボチャージャー過給器もなく、電子制御の燃料噴射装置もないキャブレター方式の自然吸気エンジンが主だった。そのためパワー不足は常に懸案で、特に山岳地帯の高標高地域に行くと坂が登れず乗員が押す姿が各地で見られた。

 その時代を知る者にとっては、現代の軽自動車のエンジンはどれも超高性能に見える。実際、各社のエンジン性能は素晴らしい領域に達している。1987年の550cc時代に登場したスズキのアルトワークスが64馬力の最高出力を発揮し、ライバルを圧倒したことが軽自動車業界を震撼させた。普通車クラス同様にハイパワー競争の波に飲み込まれそうになった。

 しかし、一方で軽自動車は国民車的な存在で多くの国民にとってなくてはならない存在に成長していた。一家に1台といわれた時代から一人1台というモータリゼーション拡大の流れを加速させるために、価格の上昇が不可欠となる無用なパワー競争に歯止めをかけたいという願いが各社一様にあり、メーカー間の自主規制というカタチで最高出力を64馬力までに制限するという流れが出来上がったといえる。

 したがって現在販売されている軽自動車のカタログ値は、どのメーカーのどのモデルでも最高出力は64馬力となっているわけだ。一部、イギリス製のケーターハム160はスズキから軽自動車用の660cc 3気筒ターボチャージャーエンジンを調達し、80馬力を引き出して搭載している。

 国内で販売される場合は軽自動車として登録されるので80馬力の軽自動車として注目を集めた。すると、それなら「俺の軽も80馬力にしてくれ!」という声が多く上がった。ガソリンエンジンの進化は著しく、普通車クラスではリッター当たり出力で100馬力を超えるのはもはや当たり前。メルセデスAMG A45など、2リッターで421馬力(リッター当たり出力200馬力超え)などというモンスターも登場している。660ccならリッター当たり出力が200馬力であれば130馬力超えも可能な数値だ。

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