ガソリン車の排ガス処理や四輪操舵システムも日本車がルーツ!
3)三元触媒システム
日本車が生み出してきたのは、目に見える技術だけではない。いまや世界中のガソリンエンジン車に採用されている「三元触媒」を世界初搭載したのは日本車だったりする。それは1977年に誕生したトヨタ・クラウンだった。
当時、世界でもっとも厳しい排ガス規制といわれた昭和53年規制をクリアすべく生み出された三元触媒技術は、CO、HC、NOxという三つの有害成分をひとつの触媒で同時に酸化・還元処理するというもの。この触媒を利用するために理論空燃比(14.7)であることが求められ、そこからO2センサーによる燃料制御という技術も生まれている。まさしく、現在のガソリンエンジンの排ガス処理はクラウンにルーツがあるといえるのだ。
4)四輪操舵システム
最後に紹介するのは、日本ではある種のロストテクノロジー化している四輪操舵だ。こちらも量産車で世界初採用したのは1985年にフルモデルチェンジした日産スカイライン(R31)の「HICAS」で、そのメカニズムはリヤサスペンションを支えるクロスメンバーを油圧で動かしてしまうという力技的な構造だった。
その後、フロントからリヤまでロッドでつなげた4WSをホンダがプレリュード(1987年)で採用した。
さらに日産はSUPER HICASとして油圧や電動で後輪を操舵させるシステムを開発、第二世代GT-Rに採用したことでスポーツドライビングに欠かせない機能として昇華させていったことも印象深い。そんな四輪操舵技術、現在はポルシェやルノーといった欧州系メーカーでハンドリングを向上させるテクノロジーとして採用されていることは、よく知られている。タイムラグはあったが、日本で生まれたシャシーテクノロジーは、世界に評価されたのである。