ダイハツは軽自動車をもっとも多くラインアップしている
言わずもがな軽自動車が売れている。新型コロナウイルスによる新しい生活様式において、自家用車での移動を求めるニーズが高まったのに合わせ、コロナ禍といわれる厳しい状況ながら、登録車に対していち早く販売をプラスに転じさせたほど軽自動車の人気は高く、いまや新車販売の4割を占めるようになっている。
ホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タント、日産ルークスといったスーパーハイトワゴンといわれるスライドドアを持つ背高モデルが人気を集めているのも知られているだろう。
そんな人気の軽自動車であっても思惑通りに売れていない、ライバルと比べて販売状況が見劣りするといったモデルもあったりする。今回、軽自動車の王者であるダイハツから思いのほか売れていないと感じる4モデルをピックアップしてみた。もっとも、ダイハツはもっとも軽自動車をラインアップしている(通称名でいっても8モデル)メーカーであり、すべてのモデルを成功させることは難しいのかもしれない。
1)アトレーワゴン
さて、まず紹介したいのはライバルに対して見劣りする2台から。一台目は1BOXワゴンの「アトレーワゴン」だ。2020年1月~10月の販売実績でいうと、同じく商用バンをベースにするスズキ・エブリイワゴンが1万2987台なのに対して、アトレーワゴンは3373台と大差をつけられている。どちらもターボエンジンだけの設定で、リヤ駆動を基本にするというプロフィールも共通なのだが、この差はどこから生まれてくるのだろうか。
ひとつ言えるのはエブリイワゴンがメッキギンギンのフロントグリルを備えているのに対して、アトレーワゴンはメッキ加飾を使っているもののシャープな印象の顔つきとしいている点。登録車のミニバンにおけるメッキグリルのトレンドを考えると、たしかにエブリイワゴンに人気が集中するのは理解できる。そして、これほどの大差がついているのはエブリイワゴンに価格設定的な割安感があるというのも影響しているはずだ。
2)コペン
1BOXワゴンほどではないが、ライバルに僅差で差をつけられているのが2シータースポーツカーのダイハツ・コペン。同じく2020年1月〜10月の販売実績を見るとライバルのホンダS660が2296台、ダイハツ・コペンは2294台となっている。この数字だけでいうと互角の勝負に見えるが、前年同期比でいうとS660は88.6%なのに対して、ダイハツ・コペンは69.5%と落ち込みが大きくみえる。
とはいえ、これは統計のマジックで、じつはコペンは売れている。ここまでダイハツ・コペンとあえて表記しているのは、トヨタでもコペンを取り扱っているから。ご存知のようにトヨタGAZOOレーシングのノウハウを投入したGRコペンはダイハツ、トヨタの双方で販売されている。同時期にトヨタで売れたコペンは1432台。ダイハツと合計すると3726台でS660を大きく上まわるのだった。