商品企画的にはずしてしまったモデルも!
ここからは狙いどおりに行っていないと思われる2モデルを紹介しよう。
3)キャスト
まずはデビュー当初は「アクティバ」、「スポーツ」、「スタイル」という3つのスタイルを展開したキャスト。こちらの販売台数は2020年1月〜10月で1万7544台と前年同期比49.2%に落ち込んでいる。もっとも、その大きな理由は2019年度をもってSUVテイストのアクティバと、ホットハッチ風味のスポーツという2つのスタイルを廃止したことにある。現在はセダンタイプのスタイルだけの設定なのだ。
ひとつのボディでさまざまなユーザーにアピールするという商品企画はたしかにメーカーからするとおいしいビジネスモデルに感じられるのだろうが、当初アクティバが想定したであろうライバルのスズキ・ハスラー、スポーツのライバルとなる同じくスズキ・アルトワークスのような徹底した個性との競争には敗れてしまったカタチだ。
とはいえ捲土重来とばかりに軽SUVマーケットにダイハツが投入したタフトは、6月から10月までの累計で3万1015台も売れている。キャスト・アクティバは消えてしまったが、その経験は十分に活かされている。
4)ウェイク
最後に紹介するのがスーパーハイトワゴン・カテゴリーにおいてもっとも背が高い部類となる全高1835mmのモデルであるウェイクだ。デビュー当初は背の高さを「上に行く」という車名で表現したという冗談とも本気ともつかない話もあったほどの意欲作だったが、なぜか売れていない。
2020年1月~10月の累計販売台数は1万3928台で前年同期比69.7%。他のスーパーハイトワゴンが軒並み10万台を超えているのに比べると、あまりにも寂しい数字だ。
なぜウェイクの人気が上がってこないのか。その理由についてはタントの特徴でもある助手席側Bピラーを廃したミラクルオープンドアになっていないことや、背高ボディを安定して走らせるためにサスペンションが硬すぎて乗り心地が悪いといった指摘もあるが、そもそも価格が割高に見えるという指摘もある。たしかに人気グレードのターボエンジン車では170万円以上という価格帯だが、NAエンジンであれば140万円を切る価格で設定されており、ここまで人気に差がつくほどでもない。
もっともウェイクの乗るとFFベースのモデルなのだが、どこかアトレーワゴンに通じるテイストが感じられる。もしかすると、ウェイクとアトレーで同じターゲット層を食い合いしてしまっているのかもしれない。そう考えると、冒頭で書いたようにアトレーがエブリイワゴンに大差をつけられているという状況も納得だ。