言われてみれば納得してしまう似通ったスタイルをもつ
兄弟車とは一般的に同じプラットフォームを共有して生まれた別名義の車種のことを指し、有名なところではトヨタ・マークII3兄弟(マークII、チェイサー、クレスタ)や、トヨタ・アルファード/ヴェルファイア、日産シルビア/180SXなどが知られるところだろう。
また、スズキ・アルトとマツダ・キャロル、トヨタ・ハイエースとマツダ・ボンゴブローニイというようにOEM供給を受けて販売されているモデルも兄弟車ということになる。
最近ではプラットフォームのモジュール化も進んでおり、どこまでを兄弟車というのかあいまいになってきてはいるが、意外と知られていない、また忘れられている兄弟車を今一度ピックアップしてみたい。
1)トヨタ・プログレ/ブレビス
トヨタの「小さな高級車」として1998年に登場したプログレは、ほぼ5ナンバーサイズのボディを持ちながら、2.5リッターと3リッターのエンジンをラインアップし、当時はセルシオとセンチュリーにしか採用されていなかった本木目の内装を持つグレードなども設定していたモデルだ。
そのコンポーネンツを使って2001年に登場したのが、ブレビスだ。どちらかというとコンサバティブなルックスを持っていたプログレに対し、ブレビスはミニセルシオと言えるような抑揚のあるダイナミックなデザインをまとっており、内装もセルシオに近いテイストのものが採用されていた。
2)ボルボS40・V40/三菱カリスマ
ボルボが1995年にリリースしたミドルサイズのセダンであるS40と、ステーションワゴンのV40は、オランダ政府、ボルボ、三菱自動車工業による合弁会社であるネッドカーで生産されていたモデル。当時のボルボのエントリーモデルでもあり、もっとも安価なグレードは300万円を切る価格も魅力だった。
そんなボルボS40・V40とプラットフォームを共有していたのが、三菱カリスマである。そもそもカリスマ自体が忘れ去られたモデルかもしれないが、日本にも導入された4ドアセダンのほか、欧州では5ドアハッチバックも設定され、現地では一定の評価を集めた実直なモデルであったのだ。
3)メルセデスベンツAクラス/インフィニティQ30・QX30
一時期日産のスカイラインにメルセデスベンツにも搭載されていた2リッターターボエンジンが搭載されていたように、ダイムラーと日産は業務提携関係となっており、その流れで先代のAクラスをベースとしたモデルがインフィニティブランドから販売されていた。
日本には導入されていなかったため馴染みのない人がほとんどだと思うが、インフィニティQ30は5ドアハッチバックボディを持ったモデルであり、日産テイストの内外装を持ち合わせてはいるものの、ベース車がAクラスと聞けば納得してしまう似通ったスタイルとなっている。
なお、QX30はQ30をベースにSUV的な仕立てをしたモデルであり、いうなればGLAクラスの兄弟車ということが言えるだろう。