市販カーナビでも利用できる機種が存在している!
しかし、ホンダが独自に信号情報を得ているわけではない。警察庁が中心的存在となって整備・普及を目指している、新交通管理システム(UTMS)による機能として信号情報の伝達というのは実現されている。
アルファベットでは『TSPS(Traffic Signal Prediction Systems)』と記されることもある「信号情報活用運転支援システム」の目的は、ゆとりある運転を促すことで、急発進や急停車による交通事故を減らすことにあるという、規格化されたサービスなのである。
おもな機能は次の3つ。
信号通過支援(青信号ままスムースに通り抜ける推奨速度情報の提供)
赤信号減速支援(この先の信号が赤に変わるのに合わせて減速を促す)
発進遅れ防止支援(赤信号で停車中に青に変わるタイミングを教える)
このように警察庁のリーダーシップによって規格化されている機能ではあるが、その恩恵にあずかれるクルマは数少ない。冒頭でHonda eのTSPSについて触れたが、そもそも市販車に最初に搭載したのは2016年にデビューした先代アコードだったりする。その後、フリード/フリード+にも採用されるなどしたが、ホンダのなかでもけっして全車搭載という勢いで普及が進んでいるわけではない。まだまだ限定された機能という状態だ。
さて、前述したようにTSPSは情報提供に光ビーコンを使っている。このことから、勘のいい方ならおわかりのように、この「信号情報活用運転支援システム」は一部のETC2.0車載器でも利用することができる。
具体的には、パナソニック、JVCケンウッド、三菱電機のカーナビに、対応したETC2.0車載器を組み合わせることで、カーナビの画面上に赤信号のカウントダウン機能を表示したり、赤信号減速支援を音声により行ったりすることができるようになっている。さらに一部のメーカーではヘッドアップディスプレイと連携させることも可能で、じつに未来的な情報表示が可能になっているのはうれしい。
というわけで、信号情報活用運転支援システムは私企業が独自にやっているものではなく、警察庁が、スムースな交通を目指して規格化しているものである。そしてそれは、ホンダ車でなくとも後付けによって活用することができるのだ。