エコカー減税なのに環境対策になっていない!
そうしたなかで、EVやPHEVへの充電では、200Vの普通充電が基本であるにもかかわらず、国内では集合住宅にコンセントを設置しにくい状況が10年も解決されていない。この結果、ことにPHEVに関してはモーター走行の機会を減らすことにつながり、HVと同様の走りとなっている面も多々あるはずだ。それでも、PHEVとHVに税制の差があることは不公平である。
こうした不自然な税制は、行政と自動車メーカー(あるいは自動車工業会など)との間でなんだかの話し合いがもたれ、EVやFCVを持たないメーカーに不利にならない制度が構築されてきたともいえる。それによって、輸入車も欧州で販売が落ちたクリーンディーゼル分を日本市場へ持ち込むといった状況が起こり、車格が上がりながら燃費が改善されることはあっても、大柄な車種が増えれば全体的な環境が改善されるわけではない。実際、近年再びスモッグが現われはじめている。
税収確保と、国内自動車産業保護が第一で、次に環境対応へもある程度効果があるようにとしたのが現在の日本の自動車税制の姿であり、欧州や米国のカリフォルニア州など、あるいは中国のように、国が主導して環境保護をしようとする積極税制にはなっていない。
消費者も、いまを楽しむこともいいが、自らの子や孫の世代へ快適な環境を残す責任に目を向けた新車選びに役立てるうえでも、エコカー減税は、排ガスゼロの車種に絞って改訂されるべきだ。そのうえで、税制以外の充電設備など社会基盤整備への支援がより手厚くなっていくことが望まれる。