2020年の「SD戦争」は激戦の様相! スズキvsダイハツの軽自動車「首位」争いを左右する「アクシデント」と行方 (2/2ページ)

スペーシアとタントの戦いが熱い!

 “SD戦争”の主戦場はもちろん店頭での“小売り”となるのだが、小売りでは“スペーシア対タント”がメインとなり、スズキにはガチとなるライバル車のいないムーヴ キャンバスは人気も高く、まさにSD戦争の最前線にいるモデルといえるので、28日までの工場の操業停止は手痛いものと考えられる。

 ちなみにダイハツ、スズキ双方ともに、業販店(販売協力関係にある整備工場や中古車販売店など)での販売比重が高いのも特徴。なかには、両ブランドの看板を掲げる業販店もあり、どちらをより優先して販売してもらうかは、スズキまたはダイハツの業販店担当者の腕の見せ所となっている。業販ではどちらかといえばスズキが強く、そのため新型コロナウイルス感染拡大下であってもダイハツを抜くことができたのではないかとの声も業界内にはある。

 さらにダメ押しでSD戦争の勝敗を決定づけるもののひとつに、ディーラー名義などで“自社届け”をして、売り先は決まっていないが、とりあえずナンバーだけ交付を受ける“自社届け出車両”にて販売実績の上積みをするというものがある。ダイハツにおける自社届け出車両では、その後に“届け出済み未使用中古車”として店頭に並んでいるのを見ると、タントとムーヴ キャンバスが目立っているので、勝敗を決する年末に向け生産に余裕がなければ無理ができないため、自社届け出という面ではダイハツには不利に働く可能性が高い。

 1月から10月までの累計販売台数差はわずか830台ほどで、ダイハツがリード。しかし、ダイハツにはアクシデントが発生してしまった。火災が起きてしまったことはお見舞い申し上げる。それを前提に不謹慎ともとられかねないことを覚悟して言わせてもらえば、例年ならば11月に入れば、ダイハツの勝利がほぼ確定的となっていた暦年締め年間販売台数におけるSD戦争であるが、2020暦年締め年間販売台数におけるSD戦争に限っては、現状での差はわずかでもあり、先のアメリカ大統領選挙のように、先行きの見通しがなかなかできない状況となっている。その行方は実に興味深いものとなりそうである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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