すでに燃料電池車やバッテリーの開発を進めている!
1964年に参戦を開始し、1965年に初優勝を獲得したほか、1983年にスタートした第2期プログラムではコンスタラクターズ部門で5連覇を達成。同時にネルソン・ピケ、アイルトン・セナ、アラン・プロストらをチャンピオンに導くなど、世界最高峰レースのF1で黄金期を築いてきたホンダ。その後も2000年から2008年まで3期目のプログラムを展開したほか、2015年からは第4期目となる活動をスタートさせるなど精力的にF1へチャレンジしてきたが、既報のとおり、ホンダは2021年のシーズンを持ってF1へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了することとなった。
F1撤退の理由が「2050年カーボンニュートラルの実現」で、ホンダは「将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発に経営資源を重点的に投入していく」としているが、そもそも、ホンダが実現を目指す“カーボンニュートラル”とは、どのようなものだろうか?
カーボンニュートラルとは、地球上の炭素(カーボン)の総量が変動しないようにすべく、地球温暖化の原因とされているCO2の排出量と植物が光合成で取り込むCO2の吸収量をプラスマイナスでゼロになるようなエネルギー利用のあり方やシステムを指す。
その概念に沿ってCO2の排出量を削減すべく、多くの企業が石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に頼らない新しいエネルギーの研究に着手しているが、これまでF1を戦ってきたホンダも全力でこのプロジェクトにチャレンジ。すでに「先進パワーユニット・エネルギー研究所」を設立しており、カーボンフリー技術の中心となる燃料電池車(FCV)やバッテリー(BEV)の開発を行っているようだ。
おりしも菅義偉総理大臣が先日の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル宣言」を行っただけに、今後は民官を挙げて次世代エネルギーの研究が進むに違いない。
F1活動を終了することはモータースポーツファンにとって残念なニュースとなったが、個人的には多くのリソースを注ぎ込んで開発に挑むホンダの“先進パワーユニット車”が楽しみでならない。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場するクルマ型タイムマシン、デロリアンは家庭ゴミを燃料としていたが、ひょっとしたら近い将来、ホンダからゴミを燃料とするFCVが誕生するかもしれない!?