ステアリングはエンジニアの執念の結晶
たとえば、片側2車線以上の自動車専用道路を70~120km/hで走行中に作動する「アクティブレーンチェンジアシスト」。ウインカーを出すだけで自動で車線変更を行う機能だが、この機能でもクルマ側が行う車線変更の巧みさがすこぶる好評である。
SUBARUは昔から運転スキルの高いドライバーの運転操作の解析を続けてきたが、アイサイトXでもテストドライバーの車線変更時の膨大な寮のデータをもとに、隣車線に向けたハンドルの切り出し角の最大値や、隣車線に移動後に収束するための切り戻し操作を精密に解析。横方向の加速度の不連続性を徹底的に抑えることで、まるでベテランドライバーが運転してるかのような自然な操舵フィーリングを実現した。
また、隣車線は並走車に隠されたり、夜間はヘッドライトの照射距離が届きにくいなど、安定して認識することが困難と言われるが、新型ステレオカメラの撮像画像の明るさの最適化や、道路の形状を推定する機能の高精度化などにより、あらゆる環境で隣車線を安定して認識できる技術を実現している。
3)こだわり抜いたタッチセンサー付きのステアリングホイール
高速道路での渋滞時など、特定の条件下で高度なハンズフリー運転を実現したアイサイトX。ステアリングには、ドライバーがちゃんと握っているかどうかを検知するタッチセンサーが備わるが、じつはこのステアリングはエンジニアの執念の結晶とも言える逸品パーツに仕上がっている。
まず、新型レヴォーグはステアリングそのものの質感やデザイン性に強くこだわり、握りやすく、手に馴染みやすくするためのさまざまな工夫が凝らされているが、その質感や操作性を一切損ねることなく、タッチセンサーの精度や耐久性を徹底的に追求した。
ステアリングホイール周囲環境の、温度や湿度の変動に伴う静電容量値の変動追従性を突き詰めたことをはじめ、マイナス20度の極寒から50度の灼熱まで、あらゆる環境下での作動や耐久性を確認。
成人男性の平均握力による負荷が長期間加えられることも想定し、質感の劣化はもちろん、長期間の過酷な状況での使用にも耐えながら機能を確保し続ける耐久性を実現したという。
運転支援システムや液晶メーターなど、ハイテクデバイス化が進むと、将来の耐久性に不安を感じるものだが、SUBARU車のユーザーは他銘ユーザーよりも平均保有年月が比較的長く、走行距離も伸びがちとなる傾向がみられるため、耐久性の確保にも抜かりなくこだわり抜いたという。アイサイトVer.1~2を搭載する少し旧世代のSUBARU車をみても、アイサイトが壊れて使用不能となるケースはほとんど見られない。さらにいえば、2003年式の4代目レガシィ3.0Rに搭載されたアイサイトの前身システムADA(ミリ波レーダー搭載)も、今でも立派に作動している個体がほとんどだ(そもそも売れた数は少ないが)。