その国に合った環境対策が重要だ
世界に目を向けると、EV普及の速度が加速している国や地域がある。それは欧州であり、中国であり、そしてアメリカだ。背景にあるのは、CO2の総量規制や、電動車の販売台数規制である。
欧州連合の執行機関である欧州委員会が推進する、欧州グリーンディール政策による厳しいCO2規制によって、自動車メーカー各社は企業間平均燃費(CAFE)に頭を悩ませている。規定をクリアするためには、プラグインハイブリッド車の多モデル化とEV導入が必須である。
中国でも、CAFEに加えて新エネルギー車(NEV)の事実上の台数規制がある。さらに、これまで世界の環境規制をけん引してきた、米カリフォルニア州のゼロエミッションヴィークル(ZEV)規制が大型トラックへも適用されることが決まっている。
一方、日本では先日、菅義偉総理が「2050年までに社会全体としてカーボンニュートラルを実現する」と宣言している。EV需要が増えることが予想されるが、日本でEVが普及するには、それなりの時間が必要だと感じる人が多いはずだ。そもそも日本には、中国やカリフォルニア州のようなEV販売台数規制がない。
このように、世界で着々と進むEVシフトのなか、日本はハイブリッド車のガラパゴス化している印象がある。ただし、これを日本が世界に遅れをとっていると解釈するのは間違いだと思う。電動化など、クルマの環境対策は国や地域の社会環境に応じた、ローカルベストになることが大切である。