充電時間は長くなるが普通充電には様々なメリットがある
もうひとつの理由は、急速充電には500Vというような高電圧を利用しなければならない。それによって、電気契約は事業所で使う電気と同様の扱いとなり、基本電力量などが高くなる。充電器自体の値段も高い。EVに充電するだけなのに、高電圧の電力契約をしたり、高価な充電器を設置したりすることは、経済的にも、工事の手間においても、意味のないことだ。
一方、普通充電といえども200Vの電気はなじみが薄いような気がするかもしれない。しかし各家庭には100Vと200Vの電気が配線されており、利用しようと思えばいつでも200Vの電気を使えるようになっている。
たとえば、10畳以上の広さの居間などに設置する空調機(エアコンディショナー)は、200Vのものを使ったほうが電気代は安上がりになることが知られており、利用している人も多いはずだ。したがって、200Vの充電コンセントをEV用に設けることは、家の外に設置するなどの工事が必要だとしても、それほど特殊なことではないのである。
EVに搭載されるリチウムイオンバッテリーの劣化を抑え、しかも満充電にすることができ、なおかつ設置工事や電気代などの負担のない方法が、200Vの普通充電である。そして、睡眠や食事など、ある程度の時間は滞在することになる家では、30分で充電を終える必要性はほとんどないといえる。