震災の際のいじめや偏見が関係しているという説も
本稿執筆中は北海道の感染者が急増しており、“感染拡大第三波”襲来ともいわれている。東京ほか大都市でも、じわじわと感染者が増えており、近いうちに第三波がくるのではないかとされている。ただ政府は春先のような、思い切った外出自粛要請は行なわないだろうから、再び他県ナンバー狩りが増えてきそうでもある。気になる人は、とりあえず愛車での県境をまたぐような移動は控え、レンタカーなどを利用したほうがいいかもしれない。
他県ナンバー狩りの動きは、単に感染者の多い都市部からの来訪を嫌がっているだけでもないようだ。これは、ある福島県の中通り地域出身の人から聞いた話。
「福島県内でも一時期他県ナンバー狩りが目立ったことがあります。しかし、それは東京などの大都市は感染者が多く、そこから人が来るのが嫌だからというものだけではないようです。2011年の東日本大震災発生による津波発生により、福島第一原子力発電所で事故が発生し、大量の放射能が外気に放出されました。そのため、原子力発電所の近隣市町村の住民の多くは避難を余儀なくされ、福島県外へも多くの人が避難しました。その時、東京を含む首都圏地域へ避難した家族の子どもが、避難先の学校で“いじめ”に遭ったという話がありました。話の信ぴょう性はともかくとして、一部の人が他県ナンバー狩りを『震災の時の『いじめや偏見』へのお返し』としてもやっているとの“都市伝説”が比較的広範囲に伝わっています」とのことだった。
他県ナンバー狩りという行為は、どのような理由があっても、決して肯定されるべき行為ではないし、あくまで一部の人が実行に加担しているだけである。ただ、その背景には単に新型コロナ感染拡大だけではなく、複雑な気持ちも絡んでいるケースがあるようだ。