話題のワークスコンプリートもエンジンには手を加えていない
言われてみると、確かにない。
日本のSUVで、パフォーマンス系モデルにほとんどお目にかからない。実際、メーカー系のチューニングブランドを見まわしてみると、トヨタGAZOO RacingのGRラインアップにC-HRがある。とはいえ、あくまでもボディとシャシーをライトチューニングしたGR SPORTに留まっている。GRヤリスのような、エンジンや駆動系まで本格的に手を加えてはいない。
また、日系チューニングブランドの筆頭であるSUBARU STIでも、フォレスターのパフォーマンスパーツとして、ボディ系ではストラットタワーバー、また排気系ではマフラーに留まる。スバル本体のモデルラインアップでも、フォレスターにはSTI Sportとしての用意はない。そのSTI Sportについても、ほぼ日本専用車であるレヴォーグにおいては、キモは電子制御サスペンションやアイサイトXであり、パワートレインのハイパフォーマンス化が主体ではない。
日系で唯一のハイパフォーマンスSUVといえば……。日産「ジューク R」だ。Rの名が示すとおり、パワートレインはGT-RのVR38DETTで、トランスアクスル4WDをパドルシフト付き6速DCTでダイレクトな走りを楽しむ。初号機が480馬力で、英国グッドウッド・フェスティバルに登場したジュークR2.0では599馬力に進化し、最高速度は266km/h、0-100km/h加速が3秒というお化けジュークだ。
筆者は2013年、ジュークR初号機をカリフォルニアで試乗したが、ズッシリとした重量感と強烈な乗り味をいまでも忘れていない。限定発売の価格は5000万円級という、超レアな日系SUVであった。