最初は「イロモノ」扱いも気づけば「ベンチマーク」に! 世界に影響を与えたプリウスやリーフは偉大だった (2/2ページ)

トヨタ・ハイブリッドは異端児からベンチマークへ

 時計の針を少し戻すと、90年代から2000年代初頭、ドイツ御三家(ダイムラー、BMW、VWグループ)や、当時のデトロイト3(GM、フォード、クライスラー)は、トヨタのハイブリッド技術について「優れた機構だが、飛び道具に過ぎない」という見方が主流だった。

 ところが、欧米での環境規制が強まるなか「ハイブリッド車も参考にして……」と欧米メーカーは、トヨタのハイブリッド技術を強く意識するようになった。その証明として、ダイムラー、BMW、GMが2005年、ハイブリッド車の共同開発を発表し、さまざまなモデルが量産された。だが、その多くは比較的短期間で生産が終わり、各社の連携体制も終焉した。

 その上で、トヨタ・ハイブリッド技術の独創性と特許の多さを再認識し、欧米メーカーとしては「トヨタとは違う路線」を模索するようになった。こうしたメーカー側の動きをユーザーも察知し、結果的に欧米でのトヨタ・ハイブリッドの評判が上がった。

 その後、欧州CO2規制や、中国のNEV(新エネルギー車)政策を加味して、プラグインハイブリッド車が欧米メーカーにとっての次世代車開発の軸足となった。

 EVについては、大手メーカーとして初めて大量生産された、日産「リーフ」と三菱「i-MiEV」が2010年代中盤過ぎまで、欧米でのEVベンチマークとなった。ユーザーも日産と三菱への信頼度を高め、三菱については欧州でアウトランダーPHEVの販売実績が上がった。

 背景にあったのは、各国での電動車向けの税制優遇だ。とくに、カンパニーカーと呼ばれる企業幹部に会社から貸与される通勤用のクルマで、電動車への税制優遇が大きかった。

 今後は、欧米各社がEV市場導入するなか、日系EVやプラグインハイブリッド車との競争が激化する。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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