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「ヴィッツの在庫が」「売り方がわからない」混乱するディーラー現場の声! トヨタ全店で全車取り扱い化のその後 (2/2ページ)

「ヴィッツの在庫が」「売り方がわからない」混乱するディーラー現場の声! トヨタ全店で全車取り扱い化のその後

増えすぎた車種の整理が徐々にスタートした

 トヨタは2020年5月に、日本国内の正規トヨタブランドディーラーすべてにおいて、全トヨタ車(JPNタクシー、コースター、センチュリーを除く)を扱う、“全店併売化”を行った。この全店併売化は販売チャンネル(トヨタ、トヨペット、ネッツ、カローラ)の統廃合は原則行われず、それまで専売であったりした兄弟車などの統廃合も乗用車系は行わずにそのまま全店併売化となった(商用車では5月1日のハイエース改良のタイミングでレジアスエースが廃止、その後ライトエース、サクシードが廃止となっている)。

 つまり、同じ店舗でアルファードとヴェルファイア、ノアとヴォクシーそしてエスクァイア、といった兄弟車がそのまま扱われることとなった。「それでは、同じ店舗で兄弟車同士を競わせれば値引きが……」と考えるひとも多いだろうが、「商談を始めるときに、例えばアルファードとヴェルファイアのどちらかをお客さまに選んでもらってから商談を始めるようにしております」とはトヨタ系ディーラーのセールスマン。

 前述したように商用車系ではすでに兄弟車の統廃合が目立っている。乗用車系でも9月にルーミーがマイナーチェンジしたタイミングでタンクが廃止され、近々にはポルテ&スペイド両車が廃止になるとされている。兄弟車の統廃合や、兄弟車ごと廃止など意外に早いペースで車種整理が行われていきそうだが、兄弟車の統廃合をしただけではまだ扱い車種が多く、販売現場では混乱が続いていくものと考えられる。例えばコンパクトカーならば、ヤリス、パッソ、ルーミー、アクア、スペイド、ポルテ、カローラ スポーツがいまもラインアップされている(10月26日現在)。

 先日取材も兼ね、ヤリスを見に来たとしてトヨタディーラーを訪れた。そのとき、ヤリスのカタログと一緒にセールスマンが取り扱い車種すべてが掲載されている総合カタログを持ってきて、それを開き「ヤリス以外にもコンパクトカーは種類がありまして……」と説明を始めた。お客が“ヤリス”と指名しているのになぁと違和感を覚えながらも説明を聞いているうちに、しつこいほど説明をする背景が見えてきた。

 たとえば、お客の指名だからといってヤリスだけ商談を進め、契約となったあとに「ほかにもパッソやルーミーといったクルマもあったじゃないか」というクレーム回避のために説明しているのだと悟った。つまり、「ヤリス以外にも同クラスモデルの存在を説明したが、お客自らがヤリスを選んだ」という事実を作りたいのだと強く感じたのだ。

 コンパクトクラスではタンクやポルテ&スペイドを廃止しただけでは混乱は収束しそうにない。ヤリスにハイブリッドがある現状では、アクアはモデル末期で値引きについてはヤリスよりアドバンテージが高いという点では存在意義はあるが、モデルチェンジするとヤリスハイブリッドとほぼ並列となってしまうので、今後の動きははおおいに気になるところである。

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