Bピラーがあるクルマと同等の強度を確保している
トヨタの初代クラウンで採用されていたことでお馴染みの観音開き。観音開きというのは、前後のドアがどちらも後ろ向きに開くのではなく、後ろのドアは前向きに開くスタイルのことで、観音様が収まる観音堂の扉のようであるため、この名前で呼ばれている。
初代クラウン以降も、ホンダのエレメントやトヨタのFJクルーザー、マツダのRX-8、そして出たばかりのMX-30など、増えることはないけど、なくなることはないスタイルとして連綿と続いている。またダイハツ タントのミラクルオープンドアも今流の観音開きの一種と言っていいかもしれない。
観音開きを見ていて気になるのが、安全性は大丈夫かということ。前後ドアの真ん中にBピラーがないので、側面衝突時に受け止める力が不足するのでは? というのが懸念される理由だ。もちろん大丈夫で、そもそもBピラーがあっても、溶接されているとはいえ、接合部分の面積は大きくない。
では、どうやって強度を保っているかというと、イメージとしてはドアの中にピラーが埋まっている感じ。ドアを閉めたときにかかるラチェット部分に工夫がしてあり、前後ドアががっちりと締結されることで、Bピラーがある場合と同等の強度を出している。
ドアには閉める順番があり、後ろが先でないと前のドアは閉まらないようになっているのはそのためでもある。つまり後ろのドアだけでは開かないようになっているのは、前開きの場合、走行風が入り込んで開いてしまう(その昔は前開き自殺ドアとも呼ばれた)のを防ぐという理由もある。