いま増える「前向き駐車」の看板! 設置の理由を関係者たちに聞いた

前向き駐車はクレームを防ぐためのアピールにもなっている

 最近、コンビニやスーパーなどの駐車場に行くと「前向き駐車でお願いします」という表示が増えてきた。もちろん以前からあったが、数としてはあまり見かけなかったし、ここなら表示するのも納得という場所がほとんどだった。しかし最近はその理由が今ひとつわからないことが多い。

 そもそも前向きがどっち向きなのかという質問をされることもあるが、入ってきた進行方向に対しての前なので、いわゆる頭から突っ込んだ状態となる。一方、切り返してバックで入れるのが後ろ向きというのが正しい。アメリカでは頭から突っ込む前向きが多く(日本で想像されているほどには多くないが)、日本は後ろ向きに入れることが多い。

 わざわざ前向きに止めるように指示があるのは、もちろん理由がある。まず後ろに草木が植えられている場合は、排気ガスによって枯れるのを防ぐため。そんなちょっとぐらいで枯れるのか? と思うかもしれないが、公園の管理者に聞いたところ、「思った以上に影響を受けやすい」とのこと。

 また、隣りにマンションや家がある場合、「排気音がうるさい」といったクレームを防ぐためという理由も聞かれるが、ノーマルであれば最近の排気音自体は向きで変わるほど大きくもない。それでも前向きにするのはなぜか、某カー用品店の店長に聞いたところ、「最近はとにかく人やクルマの出入りが多いだけでクレームが来ることがあり、実際にうるさいわけではないので対応のしようがないこともある。でも、なにかしらしないと『対策していない』と言われてしまうので、大きく表示して対策をしていることをアピールしている」という答えが返ってきた。

 信じられない方も多いかもしれないが、今や近所の公園での夏祭りや体育祭や学園祭、さらには夜警の拍子木にもクレームが来る時代だけに、とにかく先手の対策が重要ということなのだろう。

 ちなみにあえて後ろ向きに止めるように掲示してあるコンビニもある。これは、コンビニはガラス張りであるため、夜ヘッドライトで店内が照らし出されてしまうことがあるので、その対策。さらに最近では店外に漏れるWi-Fiを求めて、店の前の駐車スペースでエンジンかけっぱなしでスマホに夢中というのも当たり前になってきていて、その際、夜だとライトを点けっぱなしということも。こうなるとやはり店内がライトで照らし出されてしまうので、それを防ぐための「後ろ向きに止めてください」という掲示が必要になる。ただ、店のスタッフに聞いたところ、「効果はないですね」と苦笑いだった。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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