普通に使うのにも「難儀」するほどのダメっぷり! それでも「ナゼか愛せる」絶版車4選 (2/2ページ)

輸入車のなかにはクルマを動かす楽しさが味わえるモデルも存在!

3)ルノー・トゥインゴ(初代モデル)

 初代トゥインゴは内外装のデザインは魅力的だが、安いラテンの実用車だけに音はうるさく、クーラーの効きも強くはなく、エンジンも60馬力程度なので深夜の速い流れだとタクシーの加速に追いつくのも大変なくらい遅い。

 筆者は友人がくれた初代トゥインゴにしばらく乗っていたが、Hパターンのトランスミッション(MTとクラッチ操作だけクルマがやってくれるイージーがあるため)を状況を読んで駆使する楽しさや、「このクルマは俺が走らせてるんだ!」という楽しさにあふれていた。また和み系の内外装ながら、下り坂を含めた高速道路での安定感は「さすがヨーロッパ車」というレベルでクルマの芯がシッカリしていた。さらにフランス車らしくシートがいいのもあり、うるさい割に疲労は少なく、リヤシートもまずまず使える広さがあり、前後シートのフルフラットが可能なので車中泊も可能、リヤシートを格納すれば荷物もかなり積めると、実用性も高かった。

 気になる信頼性も、私の初代トゥインゴに関しては故障はなかったわけではないが、爆弾のように思われていることも多いイメージながら致命的なものはなかった。それ以上にルノー日産アライアンスのおかげで、パーツの入荷が古いクルマにも関わらず素早かったのにも驚かされた。

 このころ筆者は本当にお金がなかったけど、質素だけど運転して楽しく、雰囲気の明るいトゥインゴに乗っていたことで「精神的な豊かさ」というものを教えられた。

4)フォルクスワーゲン空冷ビートル

 筆者はこのクルマにも頻繁に乗っていたことがある。排気量こそ、筆者が乗った経験のある2003年まで生産されたメキシコ製空冷ビートルは1.6リッターと小さくないものの、60馬力程度だったので遅くうるさく、快適装備はクーラー&ヒーターとオーディオのみだった。そのクーラー&ヒーターも、クーラーは効き以前に猛暑度合いが強烈になっている近年の日本の夏は、空冷エンジンのビートルにはクルマに厳しそうで涼しくなった夜くらいしか乗る気になれなかった。冬場も空冷エンジン車のヒーターはエンジンルーム内の熱気を車内に引き込む仕組みのため大して効かずと(燃料を燃やす燃焼式ヒーターを付けるという手はある)、気候のいい時期以外はあまり乗りたくないクルマである。

 その代わり空冷エンジンのため、音、振動、レスポンスがダイレクトで、普通に乗っているだけで刺激ビンビンだ。MTの操作もクラッチは低速トルクが太いため非常に扱いやすいのだが、シフトアップの際のアクセルの抜き方を慎重にしないとガクンと動きがあり、気を使わないとスムースに走るのは難しい。それだけにスムースにギヤチェンジできたときの喜びは格別で、まとめると普通に乗っているだけでクルマを動かす楽しさを堪能できる。

 また空冷ビートルは速さこそまったく違うが、空冷時代のポルシェに似たフィーリングがあるため、空冷時代のポルシェに乗りたい人の練習用にも面白く、もしかするとつなぎのつもりだった空冷ビートルの方にハマってしまうかもしれない。


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