AEBの義務化に合わせて2024年から検査がスタートする
将来の自動運転につながる先進運転支援テクノロジーはもはや欠かせない機能になっている。いまや軽自動車に代表されるコンパクトカーであっても、先進安全装備の採用は進んでいる。車両周辺を検知するためのカメラやミリ波レーダー、赤外線レーダーに超音波ソナー。そうしたセンサーを車体の各部に装着することで、安全運転に貢献しているのは間違いない。
そうした機能が正確に働いていることが安全を担保してくれる時代になっている。しかし、車検の検査ラインでは先進運転支援や先進安全技術に関するチェックはない。
ご存知のように日本政府は2021年11月以降の国産新型車においてAEB(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化を決定している。当然、保安基準でもAEBについては定められた。
義務化となっているのであれば、車検時にAEBなどの機能確認をしないというのはあり得ない。なぜならAEBのような先進安全装置が正しく機能していない状態は保安基準を満たしていないことになるからだ。
もちろん、車検を管轄する国土交通省が考えていないわけはない。2024年10月より車検時において自動運転に対応した新しい検査が導入されることが決まっている。
2024年とはずいぶん先の話にも思えるが、要は2021年11月のAEB義務化によって生産されたクルマの初車検時から、自動運転という言葉でくくられた先進運転支援テクノロジーに関する検査を行なうという話だ。
新たに検査対象となるのは、運転支援装置、自動運転機能、排ガス関係装置の3点。
運転支援装置の代表例がAEBとなり、自動運転機能の代表例は自動車線変更や自動駐車機能になると発表されている。いずれにしても、車両を実際に走らせて確認することは非現実的で、OBD(車載式故障診断装置)を用いた検査手法で行うということが検討されているという。
ちなみに、2025年からいきなり運転支援装置などの検査がはじまるわけではなく、国土交通省からは『令和3年10月から電子的な検査のプレテストを開始するとともに、必要な情報管理に関する実費として、一両当たり400円を(独)自動車技術総合機構が徴収する』と発表されている。しっかりとプレテストによる準備期間を用意していると同時に、実質的な検査料の上乗せ(400円)もするというのはちゃっかりしていると感じるかもしれない。
いずれにしても、現在はAEBなどの検査は行なわれていないが、2024年10月以降は運転支援装置なども車検で検査されることになっている。そして、これは完全自動運転時代に向けた車両の安全性を確保する政策の始まりともいえるだろう。