電気自動車時代を先取りできる魅力的なモデルだ
日本では、トヨタ・プリウスPHVとRAV4 PHV、そして三菱アウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVの4車種のみだが、欧州で、ことにドイツ車にPHEVが増える傾向にあるのも、都市部で問題となっている大気汚染を抑制しながら、CO2排出量を削減でき、2021年から強化されるEUでのCO2排出量規制に対処できるためだ。アウトバーンのあるドイツでは、長距離移動の機会も多い。
そのうえで、PHEVで日常的にEV走行を経験することにより、EVを疑似体験でき、モーター走行の特徴を日々実感するだけでなく、50kmしか走らないのだから充電を毎日行うことで、給油とは違う充電の利点も体験でき、将来のEV時代へ向けたいい予行演習にもなる。
ただし、充電への懸念がない人には、ハイブリッド走行でエンジンが掛かることへの鬱陶しさをやがて覚えるようになるかもしれない。EV走行は、静粛性だけでなく動力性能も高く、わずかなアクセル操作に対する応答もいいので、思いどおりの速度調節ができ、運転が苦手な人にも楽に走らせられる感触をもたらす。EVであることが環境だけでなく、運転の容易さを実感させるのだ。
都会でのEV走行と、長距離移動の両方を頻繁に利用する人にはPHEVが最適かもしれないが、EVであることを当たり前に思える日がやがて来るかもしれない。そのとき、PHEVはEV時代への過渡的な車種だったと思うのではないか。