今でも超有名なクルマは庶民に手の届かない高価なモデルだった!
誰にでも青春時代はある。いまは高齢者と呼ばれるベテランドライバーにも若いときはあった。そして青春時代にはスポーツカーに憧れていた人も多かったことだろう。というわけで、ここでは現在70代のベテランドライバーの方々が、10代~20代だったころに憧れたであろう、懐かしのスポーツカー4モデルを独自にピックアップしてみよう。
1)トヨタ2000GT(1967年)
一口に70代といっても10歳の幅があるわけだが、ひとまず50年前の1970年を区切りにして、それ以前の国産スポーツカーで憧れの存在になりそうなモデルとなると、定番だがトヨタ2000GTがいの一番に思い浮かぶ。伝説のスポーツカーについては、いまさら解説不要という人も多いだろうが、あらためてプロフィールを紹介すれば、エンジンは直列6気筒の“ツインカム”、最高速度は220km/hとアナウンスされていた。
リトラクタブルヘッドライトの流麗なクーペボディは全長4175mm、全幅1600mmと意外にも5ナンバーサイズに収まっている。発表自体は1965年で、発売前にレースやスピードトライアルなどで実績を示してきたので1967年の販売開始時には、その実力や魅力は多くの自動車ファンに知れ渡っていた。なお、当時の新車価格は238万円。同時期のセンチュリーが268万円だったので、現行センチュリーを基準に現在の価値に換算すると1800万円相当といえるもので、ほとんどの庶民にとって高嶺の花であったことは疑う余地はない。
2)ホンダS800(1968年)
では、手の届きそうなスポーツカーといえば? 1960年代というのはホンダがエンジン・シャシーを独自開発してF1参戦していた時期(1964~1968年)だが、そのホンダ製スポーツカーとしてS500が登場したのが1963年、直列4気筒DOHCをフロントに搭載したリヤ駆動のスポーツカーだった。翌年にはエンジン排気量を増やしたS600となり、1966年にはさらにエンジンを大きくしたS800が登場する。
さらに独創的なチェーンドライブを止め、オーソドックスなリジットアクスルに変えた進化最終形であるS800Mが登場したのが1968年。S800Mの価格は75万2000円、軽自動車のN360は35万円程度だったので、けっして安いスポーツカーではなかったが、それでもサラリーマンの平均月給が5万円足らずに時代、年収以上の買いものにリアリティを感じることは難しかっただろう。