オススメはRZだが、販売店ではRSが選ばれている
1.6リッターターボで価格が最も安いRC(330万円)は、モータースポーツ用のグレードだ。ディスプレイオーディオなどの快適装備は省かれ、フルオートエアコンも標準装着されずオプション設定(13万2000円)になる。
こういった点を考えると、推奨度のもっとも高いグレードはRZ(396万円)だ。18インチサイズのアルミホイールとタイヤ、ディスプレイオーディオなどは標準装着する。実際の購入では、衝突被害軽減ブレーキなどをセットにした予防安全パッケージ(24万9700円)も加えたい。そうなると総額では約421万円だ。
さらにRZハイパフォーマンス(456万円)には、空冷式インタークーラーの冷却スプレー、ブレーキダクト、カラードキャリパーなどが装着され、内装ではシート表皮がウルトラスエード+合成皮革に変更されるなど質感も向上する。
GRヤリスには、大量生産されないパーツが多く装着されることもあり、価格は全般的に高い。中級のRZでも、ミドルサイズのボディに水平対向4気筒2リッターターボを搭載したスバルWRX STIタイプSと同等だ(現在は生産を終了)。RZハイパフォーマンスはさらに高く、コンパクトな高性能4WDの価値をどのように捉えるかで、価格に対する見方も変わる。
販売店では「RS(265万円)も意外に人気がある。標準グレードのZと比べてから、RSを選ぶお客様も多い」という。RSはエンジンがノーマルタイプで、トランスミッションもCVTだ。動力性能はベーシックなヤリスと同じだが、3ドアのボディ、プラットフォーム、サスペンションなどは、GRヤリスRZなどと基本的に共通化されている。
RSも予防安全パッケージはオプション(25万1900円/RZとは内容が異なる)だから、合計すれば約290万円だ。標準グレードのZ(192万6000円)と比較して、約100万円上まわる。割安とはいえないが、人気は相応に高い。
それならRSにも、CVTと併せて6速MTを設定すると良心的だろう。動力性能よりも足まわりの勝るクルマを峠道の下り坂で速く走らせると、独特の快感が生まれる。GRヤリスのノーマルエンジン車は、ベテランのクルマ好きにとって、琴線に触れる存在だ。
今後もユーザーの好みに応じて、新しいバリエーション展開を図って欲しい。そうすることで、価値をさらに高められるのが、GRヤリスのような商品だ。