市販車との共通部品はドアノブとエンブレムだけ! 燃費はリッター2km! スーパーGTマシン「GRスープラ」の秘密 (2/3ページ)

マシンに価格設定はないものの超高級住宅並のプライスは確実

──ところで、GRスープラGT500はエンジンもレース専用に開発されたいわゆるNRE(ニッポン・レース・エンジン)ですよね。

湯浅氏:そうです。2000ccの直列4気筒ターボエンジンです。

──確か、トヨタのレース用エンジンは「RI4AG」というモデルで、スーパーフォーミュラにも搭載されていると思うんですが、同じエンジンになるのでしょうか?

湯浅氏:共通したエンジンではありますが、正確にはまったく同じではないので、兄弟モデルといったほうがいいでしょう。スーパーフォーミュラに関してはホンダさんとの協定で開発をフリーズしているんですけど、スーパーGTのエンジンは進化しています。空力に関してはシーズン中のアップデートはできないのですが、エンジンに関してはシーズン中にアップデートが1回だけ認められています。

──排気量が2000ccとはいえ、レース専用なので燃費が悪そうですね。ちなみにGRスープラGT500の燃費はどれくらいなんですか?

湯浅氏:うーん、正確な数字は言えませんが、1リットル2km以上は走れますよ(笑)

──GRスープラGT500は現在、TGRチームWAKO’S ROOKIEの14号車(WAKO’S 4CR GRスープラ)とTGRチームWedsSport BANDOHの19号車(WedsSport ADVAN GRスープラ)、それにTGRチームau TOM’Sの36号車(au TOM’S GRスープラ)、TGRチームKeePer TOM’Sの37号車(KeePer TOM’S GRスープラ)、そして、TGRチームZENT CERUMOの38号車(ZENT GRスープラ)、TGR TEAM SARDの39号車(DENSO KOBELCO SARD GRスープラ)と計6台が参戦していますが、すべて同じ仕様なのでしょうか?

湯浅氏:基本的に同じマシンを供給していますが、チームによってホイールとタイヤは異なります。

──おそらく、セッティングに関してもGRスープラGT500はそれぞれで違うと思いますが、GRスープラGT500の特徴といいますか、ライバル車両に比べてマージンがある部分はどこなのでしょうか?

湯浅氏:いろんなところで言われているように、GRスープラGT500はドラッグが少ないので、ストレートに強いという部分はあると思います。

──確かに開幕戦の富士スピードウェイでもトップ5を独占しましたし、今年は富士が4戦もあるので有利ですよね。ちなみに、そんなストレートに強いGRスープラGT500、気になるお値段はおいくらなのでしょうか?

湯浅氏:基本的に販売を前提にしていないので金額がないんですよね。現在、6台をチームに供給していますが、これも販売ではなく貸与している状態です。しかも、クルマとしては6台ですが、スペアパーツも数台分ぐらいの量になるので、もし金額をつけるなら、それを含めての計算になると思います。

──仮にプライスをつけるなら家を買えるぐらいの金額になりますかね?

湯浅氏:間違いなく高級住宅ぐらいの値段になると思います。

──なるほど。では、販売が無理なら貸与は可能なのでしょうか? たとえば私がチームを作って、7台目のGRスープラGT500でGT500クラスに参戦……ということはできるのでしょうか?

湯浅氏:それは難しいと思います。現在、GT500クラスはトヨタが6台、ニッサンが4台、ホンダが5台というバランスで成り立っているし、タイヤメーカーも関係してくるので、TRDやトヨタだけの判断ではなく、GTAを含めて全体での協議が必要になるでしょう。プロ野球で球団を増やすのと同じぐらい大変なことになると思います。それに1台増やすとなるとTRDとしてもスタッフの人数を増やさないといけないですしね。

──宝くじが当たっても難しそうですね。ちなみにスーパーGTの開催時はTRDから何人ぐらいのスタッフを現地に派遣しているのでしょうか?

湯浅氏:通常は30名前後がサーキットに来ていますが、今年は新型コロナウイルスの影響で人数制限を行っているので、営業やマーケティングの担当者は現地に来ていません。それでもGT300クラスの担当者を含めて20名はサーキットに来ていますね。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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