つながるクルマとは、どういうことか?
最近、コネクテッドとか、コネクティビティといった言葉が、クルマで使われることが増えてきた。直訳すれば「つながる」である。なにが、どうつながるのかというと、通信によってつながる。
ところが、コネクテッドにはさまざまな領域があるため、ユーザーにとってわかりづらい面が多いと思う。そこで、コネクテッドが普及してきた順番に、それぞれの領域について紹介したい。
まず、コネクテッドをユーザーが実感し始めたきっかけは、カーナビだ。アメリカが軍需目的で打ち上げた衛星を、米政府が民間への使用を認めた。これが、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)だ。アメリカはGPSから発信する電波を受信する機器の製造に対する権利料金を設けなかったため、GPSを活用したビジネスが世界中に一気に広がり、90年後半から2000年代にかけて、クルマのナビゲーションシステムが急激に普及した。
次に訪れたコネクテッドは、iPodなどの音楽機器と車載オーディオをBluetoothでつなげることだ。Bluetoothは数メートル程度の距離でのデジタル機器の通信を行う規格だ。
これは当然、音楽視聴に特化していたが、カセットテープやCDでは考えられない楽曲数を車内で楽しむという、ユーザーにとって大きな変化だった。これが2000年代中頃まで続く。
この先に訪れたのが、現在までのコネクテッドに続く大きな分岐点となるものの本格普及である。2000年代後半に本格的な量産が始まった、スマホだ。スマホ自体にナビゲーションシステムがあり、また音楽に加えて動画、さらにゲームなども通信によって楽しめる。
最初は、その一部について、Bluetoothによりクルマとコネクテッドする程度だった。それが2010年代半ば、一気に風向きが変わった……。