クロスミッションには大きく分けて2つのタイプが存在する
市販車でも、モータースポーツのベース車になるようなクルマ、たとえばマツダMAZDA2の15MBやスズキ・アルトワークス、三菱の歴代ランエボのスーパークロスレシオ(RS)、スバルのWRX、ホンダのS2000、シビック・タイプR(FD2)、輸入車ではルノー・メガーヌR.S.やフォルクスワーゲン・ゴルフRなどが、クロスレシオをうたっている。
こうしたクロスミッションにも、大きく分けると下記のような2タイプがある。
ひとつは、各ギヤをトップギヤに近づけるタイプ=最高速度重視型。
もうひとつは、2速3速をローギヤに近づけるタイプ=立ち上がり重視型。
車種でいうと、FD2やマツダRX-8などは、かなりローギヤードの立ち上がり重視型。
メガーヌRSやS2000は、ハイギヤードの最高速度重視型のクロスミッションになっている。
立ち上がり重視のクロスミッションは、ワインディングやテクニカルなコーナーはキビキビ走れて気持ちよく、ラリーやジムカーナなどにも向いているが、高速巡航時の燃費は悪く、すぐにエンジンが吹け上がってしまうので、小まめなシフトチェンジが必要で、運転が忙しくなる。
それに対し、最高速重視のクロスミッションは、高速域で速度が伸びるので、富士スピードウェイや鈴鹿、SUGOなどの高速コースと相性がいい。その代わり、ミニサーキットなど低いギヤがメインのサーキットとの相性は今ひとつ!?
その点、標準的なミッションは、荷物満載の坂道発進まで考えた1速から、高速道路での燃費を重視した5速、あるいは6速が設定されていて、2~4速のステップレシオはつながりがいいように、バランスよくギヤ比の間隔が開けられているので、とくに得意といえるシチュエーションがない代わりに、オールマイティに使えるよう設計されている。
そういう意味で理想なのは、最近AT車で増えている多段化されたミッション。8速、10速と多段化されたATなら、必然的に各ギヤのギヤ比が接近するので、燃費向上のメリットも大きいし、パワーバンドもキープしやすい。
MTで多段化すると、シフト操作が忙しくなるだけで、メリットは小だが(重量面、強度面でもマイナス)、多段ATはこれからスポーツカーでも採用するクルマが増えてくるだろう。