アウトドア用途としてはヤリスクロスが適している
クロスオーバーモデルと言えば、街中ではもちろん、アウトドアでの活躍にも期待したい車種だろう。C-HRは全高が1550mmゆえ、立体駐車場への入庫が容易なのはともかくとして、ラゲッジスペースの考え方もまた、両車の違いとなる。C-HRはズバリ、アウトドア派向きとは言い難い。
ラゲッジ容量はヤリスクロスよりデカいくせに通常時318リットル。カタログなどにラゲッジスペースの寸法が出ていないことからも、RAV4やヤリスクロスのようなラゲッジ自慢のクロスオーバーモデルではないということだ。
その点、ヤリスクロスはそのボディサイズからは想像もできないほどのラゲッジスペースの広さと使い勝手を備えている。通常時のラゲッジ容量はいきなりC-HRの72リットル増しとなる390リットルとなり、上下2段で使える、6:4分割デッキボードを用意するだけでなく、コンパクトカーとしては例外的な、欧州上級車にある4:2:4分割可倒式の後席を備え、中央の2部分をひじ掛け代わりに倒すことで、後席2名乗車時でも、スキー板などの長尺物を積載可能。アウトドアでも使い倒せる、じつに練りに練られた積載性、アレンジ性を持ち合わせているのである。
もちろん、価格もかぶってはいない。ヤリスクロスの実質的ベースグレードと断言できるXグレードが189.6万円。一方、C-HRのベースグレードが238.2万円だから、48.6万円もの差がある。ディスプレーオーディオ、コネクティッド、先進運転支援機能のトヨタセーフティセンスに大きな違いはないものの、新しく、買いやすく、クロスオーバーモデルとしての走破性で上まわるヤリスクロスとC-HRは見事にキャラ分けされ、実際にはまったくかぶらない2台なのである。
最後にひとつ確実に言えることは、C-HRは”なんちゃって”スタイリッシュクロスオーバーであること。乗用車としてSUV風のデザインが気に入れば、それでよし。アウトドアやそこそこの悪路での用途まで考えるなら、クラスを気にせず、ヤリスクロスにするのがベターということになるだろう。