アメリカはどんなモデルでもATが好まれる
「凄いですね、6速MTだ」。
9月16日にオンラインにて開催された、日産「フェアレディZプロトタイプ」の発表会。タレントのクリス・ペプラー氏が、アメリカのZオーナーズクラブの代表者らと話しても、アメリカ現地から6速MTの話題が出た。
また、日本メディア向けのトークセッションでも、次期Z(Z35)の商品開発を取りまとめているチーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏が、6速MTへの拘りを強調した。
確かに、フェアレディZがこれまで歩んできた道のりを振り返ると、2020年代に入ったからといって「シフトはパドルで」というATありきの決断はできなかったと思う。無論、商品イメージだけではなく、ZについてはMT志向が根強くあるため、そうした実需に即した商品要項に6速MTがあったのだと思う。
たとえば、アメリカ人にとって70年代に衝撃的な出会いとなった初代S30以来、「ZはMT」を貫いてきたZユーザーは多い。その上で、Z32については、ATとのマッチングが良い商品イメージがあり、また日産としてもそうした訴求活動を当時していたと記憶があり、ATユーザーが増えた印象がある。
それがZ33では、GTライクなどっしりとした走りを強調しながらも、6速MTでの走りの楽しさを追求した。途中の改良で、低速ギヤのシンクロ機能が向上したことで、乗りやすく・扱いやすくなったことを、つい先日の出来事のように思い出す。
さらに付け加えると、Zの主要販売国であるアメリカは、言わずと知れたAT車王国であり、ZでもATを好むユーザーも多い。とくに、アメリカではクーペ、さらにコンバーティブルでは女性ユーザーの人気が高く、彼女たちの多くがATを選ぶ傾向がある。