この記事をまとめると
■SUVであるヤリスクロスにはガソリンとハイブリッド両車にシステムの違う4WDを設定
■どちらも悪路走破を想起させるようなドライブモードが備わる
■残念ながら悪路で4WDらしい走破性を確保するレベルではなく緊急脱出性を高める程度
燃費を重視する制御はあるがアンダーパワー気味なのが難点
コンパクトなクロスオーバーSUVとして登場したトヨタ・ヤリスクロス。すでに人気は沸騰していて試乗もしないまま予約したユーザーは4万人ほどもいるという。その多くはFFのハイブリッドモデル(HV)を選択しているというが、「SUVであるなら4輪駆動(4WD)であるべき」というのが僕の持論だ。ヤリスクロスにも4WD仕様の設定はある。そこで、ここでは4WD仕様の走りとシステムに特化してリポートしたいと思う。
ヤリスクロスには1.5リッター3気筒のダイナミックフォースガソリンエンジンにコンベンショナルな電磁クラッチを使用するオンデマンド4WDと1.5リッターHVにトヨタが得意とするE-Fourシステムを採用した2種類の4WDが設定されている。1.5リッターガソリンモデルのシステムは一般的に生活四駆と呼ばれるもので、通常走行時は前輪駆動のFFとして走行し、悪路などで前輪が空転すると後輪へ駆動力を伝えるクラッチが作動して4WDとなるものだ。
このシステムのキモは電磁クラッチをどのように作動させるかで、燃費を重視するならできるだけFF状態で走らせ、安定性を重視するならつねに弱く締結させることが求められる。ヤリスクロスでは燃費を重視する制御が採用されているので、前輪が明確にスリップしないとクラッチは作動しない。ただ実際のところ1.5リッターガソリンモデルは車重に対してアンダーパワー気味であり、滑りやすい路面や登り勾配のきつい山岳路では明らかにパワー不足感を否めない。