ギャランVR-4はランエボと同様4G63エンジンを搭載
東京オートサロンで公開された、トヨタのスポーツモデルを担当するGazoo Racingが初めて自社のみで手掛けた市販車であるGRヤリスのカタログモデルが9月に発売された(筆者も東京オートサロンから6月30日まで先行予約が行われたファーストエディションをオーダーしており、納車間近となっている一人だ)。
GRヤリスはWRC参戦のため、「既存の市販車を改造するのではなく、競技に使う際に有利な市販車を作る」というコンセプトで開発されたモデルで(残念ながら現行レギュレーション最後の年となる、2021年のWRCへのGRヤリスでの参戦は見送られてしまったが)、ラリー以外の競技での活躍も楽しみだ。
GRヤリス以前の日本車の歴代ラリー参戦ベース車はWRX STIを含むスバル・インプレッサと三菱ランサーエボリューションが双璧だが、ここではインプレッサとランサーエボリューション以外の「2リッターターボ+4WD」のラリー参戦ベース車を振り返ってみよう。
1)トヨタ・セリカGT-FOUR(1986年)
セリカGT-FOURは、日本車では6代目ファミリアが切り開いた「ラリー参戦のための4WD+ターボ」というジャンルに続いたモデルである。セリカGT-FOURは歴代2リッターターボエンジンを搭載し、WRCにおいて初代モデル(4代目セリカ)はドライバーズタイトルだけだったが、2代目モデル(5代目セリカ)は93年と94年にドライバーとメイクス(メーカー)のダブルタイトルを獲得。
ただ、2代目モデル(5代目セリカ)以降はWRCにインプレッサとランサーエボリューションが参戦してきたこともあり、「市販状態でのクルマの良さというより、実際に参戦していたTTE(トヨタチームヨーロッパ)の力、組織力で戦闘力を保っていた」という感も否めなかった。なおセリカGT-FOURのWRC参戦は丸目4灯ライトでカッコいいスタイルにファンが多かった3代目モデル(6代目セリカ)が最後となった。
2)三菱ギャランVR-4(1987年)
ラリー参戦のため「2リッターターボ+4WD」としたモデルで、この時点でランサーエボリューション9まで使われた4G63エンジンを搭載していた。ギャランVR-4は曲がりにくいクルマだった半面、中速域から太いトルクを持つ4G63はとくにラリーでは大きな武器となり、WRCでも6勝を挙げた。なおギャランVR-4は「競技に使うにはボディサイズが大きい」という競技の現場からの声に応え、ミニギャランVR-4的な存在として登場したのがランサーエボリューションで、後述するレガシィとインプレッサの関係もギャランVR-4とランサーエボリューションと同様だった。