未使用中古車は新車よりも割安な価格で購入できるが……
かつては“新古車”と呼ばれ、この呼び方が業界的に使えなくなると“未使用中古車”となった。そしていまは“登録済み(軽は届け出)未使用車”という表現も使われている。
ここではわかりやすく“未使用中古車”と呼ぶことにする。
新車販売台数の上積みなどをねらい、購入先の決まっていない在庫車などを、新車販売ディーラーなどの“自社名義”で登録(軽は届け出)し、ナンバープレートの交付を受けた“自社登録(軽は届け出)車両”が未使用の状態のまま、中古車展示場や専売店において“未使用中古車”として販売されることになる。ユーザーの都合などによるキャンセル車両も含まれるが、大半は自社登録(軽は届け出)車両となっている。
ナンバープレートがついていること以外は、車両そのものは新車と大きく変わることがない。そのため、オーディオやカーナビが未装着状態の未使用中古車も多く、購入時に新車のように好みの機種を装着することになる。専売店などの業者は新車ディーラーから一度に多くの未使用中古車を仕入れるので、バラで仕入れるよりトータルで安く仕入れることができ、ナンバープレート交付から半年ほど経過してから展示場に並ぶのが一般的なので、減価償却も進み、新車で購入するよりは割安な販売価格となっているケースが多い。
未使用中古車を購入すると、名義変更で済むので納車が早いことがメリットとなる。話を聞いた専売店では早くて2週間で納車できるとのこと。ただ、流行っている白いナンバープレートをつけたい場合は、事務処理に時間を要しており1カ月ほど納車まで必要になるとのこと。
もともと薄利多売の軽自動車を、さらに薄利で販売する未使用中古車専売店のなかには、販売諸費用で細かく稼ぐ業者もいる。新車ディーラーではあまり聞かない“週末納車費用”などを計上してくる業者もある。自社整備工場を持っている業者も多く、アフターメンテナンスで利益を補う業者も多くなっている。ほとんどは善良な業者ばかりだが、契約時には諸費用について念入りに確認し、納得してからサインをしてもらいたい。
新車で買うか、未使用中古車で買うか迷ったときは、車両代金の支払い方法で考えて欲しい。
ローンを利用する場合は、新車ディーラーで新車として購入するのがおすすめ。いまどきは残価設定ローンが主流となっており、低金利もあって月々の支払い負担をかなり軽減することが可能。
一方で未使用中古車では、あくまで一般的にはであるが、金利は高めとなり、残価設定タイプではなく、通常ローンとなるので月々の支払い負担が重くなるだけでなく、車両価格が割安な分を、高い金利が吸収してしまうので未使用中古車を購入するメリットがかなり薄くなってしまうのである。ローンを使うなら新車、現金一括払いならば未使用中古車と考えていいだろう。ただし、未使用中古車は人気モデルがメインなので、こだわった少数販売モデルの在庫は少ないことには注意してもらいたい。
いまどきは、ディーラーで代車として短期間使ったあと、“ちょっとだけ使用中古車”として店頭に並ぶ車両もあり、こちらは走行距離数千km程度となるぐらいで、ディーラーで管理されていたので良好な状態ながら、未使用中古車よりさらに買い得になっているのである。軽自動車だけでなく、各メーカー系ディーラーでは“認定中古車”的な表現で中古車販売も積極的に展開しており、そのなかには未使用中古車や“ちょっとだけ使用中古車”もラインアップされているので、いまどき未使用中古車は中古車専業店や未使用中古車専売店だけでしか購入できないというわけでもなくなってきており、その存在はより一般化してきている。
ただし未使用中古車専売店では、とくに軽自動車ならば、一カ所でほぼすべてのメーカーの主要モデルを比較検討することができるというのも魅力と考えているひとも多いようである。