ターボエンジンの加速に似ていることから電動ターボと称された
ハイブリッドシステムや、F1のKERS(キネティック・エナジー・リカバリー・システム、2009~2013年)またはMGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット-キネティック)などで、モーター駆動により加速力が増幅される様を「電気ターボ」「電動ターボ」などと言われることがある。ちなみにキネティックとは、運動という意味だ。
排ガスを動力とするターボチャージャーを備えたエンジンでは、過給によって加速力が増幅されると、がぜん勢いが増し、自然吸気エンジンでの加速とは違った体験ができる。モーターの力が加わり、加速力が増幅される様子も、ターボエンジンでの加速に似ているので「電気ターボ」や「電動ターボ」と表現されたのだろう。
ただ、厳密に言葉の意味を確認するならば、ターボチャージャーのターボとは、タービンのことだ。羽を回して動力を得る装置である。ジェットエンジンも、タービンの一つだ。
チャージャーとは、直訳すれば充電器となる。チャージという単語には、充填の意味があるので、何かを詰め込むためのもの(装置)と解釈できる。
したがってターボチャージャーは、タービンを使って詰め込む装置だ。何を詰め込むかというと、エンジンの場合は吸気(空気や混合気)である。また、羽を使って動力を得るためのエネルギーを排気に頼る。
ターボという言葉は装置の機構をいっているのであり、ターボチャージャーを装備することで得られる加速力の増大の様子は、ブーストと表現されるべきかもしれない。ブーストとは、押し上げるという意味で、ロケットのブースターは補助推進装置を意味する。そこで、エンジンにモーターの補助を加えることで、加速力が増大する様子は、「電気ブースト」とか「電動ブースト」といった方が的確だろう。