サグ部での速度低下防止などはドライバーの心がけで防げる
10月1日から東京発着の旅行もGoToトラベルキャンペーンの対象となり、週末の高速道路などはかなり交通量が増えてきて、定番の渋滞ポイントでは、長い渋滞の列が見られるようになった。こうした渋滞発生ポイントは各地に見られるが、なぜ渋滞は決まった場所で発生するのか。
交通工学では、『交通容量上のボトルネックにその地点の交通容量を超える交通需要が流入しようとするときに,ボトルネックを先頭にしてその上流区間に生じる車両列(渋滞車列)における交通状態』を渋滞の定理としており、また警視庁では、「一般道路=走行速度が20km/h以下になった状態」「高速道路=走行速度が40km/h以下になった状態」としている。
これらの渋滞には、交通集中による渋滞と、事故や工事などによる突発渋滞に分けることが出来るが、交通集中渋滞にはいくつかのパターンがある。
高速道路の場合、サグ部(下り坂から上り坂に変わる凹状の箇所)と上り坂、トンネルなどが主なボトルネックで、合流部や料金所、SA・PAの入口なども速度の低下が起きやすく、渋滞の原因になっている。
とくにサグ部と長い上り坂は、交通集中の約58%、渋滞全体の約45%を占めるというデータがある(NEXCO東日本の調べ)。
国土交通省が発表した、全国の高速道路の渋滞ワーストランキングの第一位、「東名高速道路 上り 海老名JCT – 横浜町田IC」は、大和トンネル付近が、サグ部になっていて、しかもトンネルという二つの要因が重なっているため、渋滞のメッカになってしまった。
ちなみにNEXCO東日本によると、同社の管轄内の渋滞の約73%が交通集中渋滞で、事故渋滞は約17%、工事渋滞は2%しかなかったとのこと。
サグ部での渋滞を防ぐには、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を活用するのが一番有効。多くの場合、上り坂の抵抗で、ドライバーが気がつかないうちに速度が低下するので、ACCで速度を一定に保たせるのがベスト。
あとは、車間距離を広めにとって、前車の速度低下を吸収できるスペースを確保しておくのも重要。
もっと基本的なところでは、スピードメーターを小まめにチェックし、上り坂で速度が低下しはじめたときに、一人ひとりがアクセルを踏み足し、速度低下を起こさないというのが根本的に大事なところ。右足が固まってしまって、細かいアクセルワーク、速度調整が苦手な人も多いので、足首の柔軟性向上も必要かもしれない!?
一般道では信号交差点と踏切、車線数の減少、商業施設などへの入庫待ちなどが、ボトルネックの代表。
対策としては、渋滞しやすい時間を避けるか、ルートを迂回するぐらいしかないが、信号交差点での渋滞を減らすには、『ふんわりアクセル』や「eスタート」をやめて、安全な範囲で素早く発進し、青信号1回あたりの通過できる台数を増やすのも肝要。
国土交通省によると、全国で年間に発生する渋滞損失は約38.1億時間。1人あたり年間30時間の時間損失となり、経済損失は12兆円ともいわれている。
大規模なインフラ整備を行わないと抜本的に解決しない部分も少なくないが、サグ部での速度低下防止などは、ドライバーの心がけ次第でも防げるもの。
渋滞は時間的にも、精神的にも、環境的にもマイナスでしかない。一人ひとりがクルマの流れを滞らせないことにもっと意識を向けるようにして、少しでも渋滞を減らせるように工夫していこう。