ポテンシャルの高い人気モデルも登場していた
2)YRV
2000年に登場したYRVは、当時軽自動車で人気だったトールワゴンスタイルを採り入れたコンパクトカーだ。しかし、ただのコンパクトカーではなく、トップグレードには現在のタフトに備わるような大型のパノラマガラスルーフ装着車を設定。さらにターボモデルは1.3リッターながら最強クラスとなる140馬力を発生するホットモデルとなっていた。
とくにモデル途中で追加された「ターボR」は、15mmローダウンとなる専用サスペンションやBBSアルミホイール、スポーツマフラーを標準装備し、レカロシートをオプションで設定する本格的なもの。しかし、ターボモデルには4速ATしか用意されなかったため、本格的なスポーツ志向のユーザーを取り込むことができなかった。
3)アプローズ
それまで、このクラスは旧型のカローラのボディを流用したシャルマンでまかなっていたダイハツだったが、念願の自社開発車として89年に満を持してリリースしたのがアプローズだった。見た目こそオーソドックスな4ドアセダンに見えるが、じつはリヤはハッチバックのようにウインドウごと開く「スーパーリッド」となっており、5ドアノッチバックセダンとなっていた。
見た目のインパクトに話題が集中するところだが、じつはアルミブロックを用いた1.6リッターエンジンを搭載し、国産車初となる周波数感応式ダンパーなどを採用しており、その欧州車風の乗り味は一定以上の評価を集めていたのである。
しかし、登場後すぐにATトランスミッションとオルタネーターのリコールが発生し、その後にガソリンタンクのエア抜きの不具合で燃料が吹きこぼれるトラブルも発生。これを一部マスコミがセンセーショナルに報道した結果、燃えるクルマというネガティブなイメージを受け付けることになり、販売に大打撃を与えることになってしまったのだ。
とはいえ、大小の改良を繰り返しながらも2000年まで販売が続けられたことは、アプローズのポテンシャルがそれだけ高かったことの裏返しと言えるのではないだろうか。