トルク曲線に変化があるほうが運転していて楽しい場合も
その点、ホンダのVTECなどは秀逸なエンジンで、低速カムと高速カムのふたつのカムを持つことで、トルクの山がふたつある。低回転でもトルクフルで、街中でも使いやすく、高回転まで回せばパワフルでスポーツカーならではの加速感を背中で感じることができる。しかもトルクの山がふたつあるということは、ドラマティックな加速が二回も味わえるということで、快感度は高い。乱暴ないい方をすると、トルクカーブは少々デコボコしていた方が、体感的には面白いということになるだろう。
しかし、本当に街中でも扱いやすくて、ドライバビリティがよく、実質的に速いエンジンというのはフラットトルクなエンジン。そのいい例が、トヨタのGRスープラ(RZ)のB58直列6気筒エンジン。
1800回転~5000回転という広い範囲で、500N・m(51.0kgf-m)という大トルクをキープし続けるので、トルクカーブはまるでオーストラリアのエアーズロックか、テーブルマウンテンのようなカタチ! これに、多段(GRスープラは8速)のATを組み合わせたら、街乗りもスムースだし、サーキットでのパフォーマンスも高くなる(面白いかどうかは、好みが分かれるが……)。
今後は多くのクルマが、このGRスープラのように極低回転から最大トルクを発生し、それを高回転までキープするエンジンを目指していくことになるだろうが、非効率的でもトルクカーブの山が尖った、加速度がドラマティックに変化するスポーツカーも残しておいてほしいものだ。