シフトレバーが2本! 本格4WD車に採用される「副変速機」は何のため?

悪路走破や燃費向上など最適な駆動力を確保できる

 本格的なクロカン四駆のフロアには、シフトレバーの隣にもうひとつレバーが生えている。これは副変速機=トランスファーの変速レバーだ。副変速機のシフトノブには、「2H(2WD)」「4H(4WD-Hi)」「4L(4WD-Low)」と書かれているのが一般的。つまり、パートタイム4WDが多いクロカン四駆において、手動で二駆と四駆を切り替えるための機構が、副変速機の役割になる。

 パートタイム4WDの場合、通常走行では2WDで走り、4WDに切り替えたときは、高速モードと不整地や泥濘地などから脱出するときの低速モードの二段階に切り替えられるのが普通。クロカン四駆だけでなく、田んぼや畑で活躍する、農業用の軽トラックもこのタイプのものが多い。

 仕組みとしては、主変速機(トランスミッション)から出ているプロペラシャフトの回転が副変速機に伝わり、ここで駆動力を分配。2H=二駆のときは後輪側へ向かうシャフトだけが回り、4Hもしくは4Lに切り替えると、前輪側・後輪側に向かう両方のシャフトがまわって4WDになる。

 この4Hと4Lの違いは、スポーツ自転車のギヤのフロント3枚×リヤ7枚といった組み合わせの、フロントディレイラーを思い浮かべるとわかりやすい。要するに主変速機が5速だとして、そこに副変速機の2段を加えることで、ざっくり10段という多段化を可能にしているというわけだ。

 田んぼや林道、岩がゴロゴロしているような道では、4Lにして大きな駆動力を得て走破性を高め、一般道を走るときは、二駆にすることで駆動ロスを減らして燃費を稼ぎ、いわゆる四駆の「タイトコーナーブレーキング現象」をなくし、スムースに走れるので重宝する。

 また最近ではCVTに副変速機を加えることで、プーリーを小型化しながらも、大幅に変速比の幅を拡大することに成功しているケースもある。とくに、エンジンの排気量が小さく、トルクが小さい軽自動車では、この副変速機付きCVTが、小型軽量ながら変速比幅(レシオカバレージ)を大きくとれるとして注目を集めている。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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