レーシングカーからパドルシフトが普及していった
一方、レーシングカーの分野では、Hパターン式のマニュアルシフト、次に前後方向に動かすシーケンシャルシフト、そしてステアリングの手元でシフトするパドルシフトへと、ギアシフト機構が進化していった。
このパドルシフトを量産車でも味わいたい、というユーザーの声を受けて、スポーティなクーペ、セダン、またSUVでもパドルシフトの採用が進んだ。
その上で、課題となったのはコストだ。
本来、パドルシフトはステアリングを切った状態で、ステアリングから手を放さず素早くシフトするための装置なのだから、レーシングカーのようにステアリング一体式が望ましい。だが、近年の量産車のステアリングには、オーディオ操作や、予防安全技術に関する各種スイッチが備わるようになり、パドルシフト付けるとさらにステアリングの構造が複雑になってしまう。
そこまでの導入コストが新車価格に反映されても需要がある、高級スポーツモデルでは、ステアリング一体式パドルシフトが採用されている。
一方で、スポーティ感覚が加味するレベルのモデルでは、コスト削減の面、または商品性の面やインテリアデザインの面から、ステアリングコラム装着式パドルシフトが採用される傾向がある。