いまや軽自動車にも採用される「パドルシフト」! 「一緒に回る」ステアリング側と「位置固定」のコラム側が混在するワケ (1/2ページ)

自動変速ではモノ足らずに広がっていったシフトスイッチ

 いまやスポーティなモデルでは珍しくなくなった、パドルシフト。オートマティックトランスミッション(AT)やCVTなど、本来はギヤをシフトする必要がない変速装置に、あえてシフト感覚を取り入れたものだ。

 時代を振り返ると、1960年代は日本でもマニュアルトランスミッションが当たり前だった。それが70年代に入ると、自動車メーカー各社がトルクコンバーター方式の自動変速機を「トルコン」と呼び普及を急いだ。

 トルコン導入初期、筆者はまだ運転免許がない年齢だったが、我が家で購入したトルコン車について助手席や後席から「加速が甘い」などと勝手に評価していた。だが、母親は「毎日の運転がとても楽になった」と絶賛していたことを思い出す。

 その後、オートマティックトランスミッションは3速AT、4速AT、5速ATと徐々に多段化が進む。

 こうしたなかで、「ATでもシフトして走りを楽しみたい」というユーザーの声があり、まずはシフトレバーを動かすタイプのマニュアルシフトモードが登場する。

 次に、マニュアルシフトモードの操作を「ステアリングを握ったまま、手元でやりたい」という声が出始めたので、ステアリング周辺にシフトスイッチを配置するようになった。

 当初は、ステアリングの後ろ側に、シフトのアップ、ダウンをするボタン式スイッチがあるタイプが出回った。これはステアリング内部の小規模な改良で量産が可能であり、メーカーにとって開発費用も部品メーカーからの購買費用も比較的低く抑えることができた。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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